Business Software Alliance(BSA)とNTTデータ経営研究所は8月9日、共同で日本政府のITマネジメントへの提言をまとめた。日本政府のITマネジメントのあり方をIT資産管理の観点から考察している。
主な提言は(1)政府が保有するIT資産の見える化、(2)政府CIOによるマネジメントの強化――という2つになる。効果的なITマネジメントを実現するためには、何よりもまずIT資産の見える化が必要と主張している。
そのために(1)では、政府の情報システム管理データベース(DB)を構築してIT資産を見える化を図るべきとしている。このDBで定期的かつ継続的に棚卸することで、政府が保有するIT資産を客観的な根拠に裏付けられた透明性の高い見える化ができるとその利点を説明する。IT資産の見える化では、資産状況の把握に加えて、政府職員によるIT資産の利用環境の変化や多様化の実態把握もすべきとも提言する。
DBの運用では、データ分析手法の導入、IT資産管理業務の集約化や自動化で業務効率化を図り、システムの品質向上などの実施施策もあわせて進めるべきという。情報セキュリティ上のリスクはIT資産の不十分な管理や実態把握に起因するところも多いために、IT資産の見える化では、ネットワークの常時接続していないものも含めるべきとしている。
DBを構築しただけで機能するものではなく、戦略的なマネジメントのもとで継続的な管理されていくことが必要として、その戦略的マネジメントを担当するのが政府CIOと位置付けている。
そのため(2)では、政府が設置を明言している政府CIOには法律上の根拠に基づく十分な権限を付与されるべきだが、中でも、IT関連予算の査定、事後評価などに関する十分な権限を持つことが重要としている。加えて、政府CIOには、政府CIOのスタッフ部門と府省CIOを通じて、府省横断の最適なIT資産管理への強いリーダーシップを発揮することを期待すると説明している。
政府CIOがITマネジメント上の課題を解決するには、各府省の協力とともに政府CIOを支える強力なスタッフ部門が不可欠と強調。短期間の各府省と民間企業からの出向にとどめず、スタッフ部門にも権限を持たせることで、政府CIOへの帰属意識を高めるべきとしている。民間企業側でもエース級の人材を送り込むとともに、経験者を出向から復帰後要職に就けるなど、民間側のバックアップサポートも不可欠と提言している。