Salesforce.comは米国時間9月4日、「ソーシャルエンタープライズ」の商標登録申請を取り下げることを明らかにした。同社のマーケティングでもこの言葉を使わないことも表明している。
同社は過去2年間、企業と顧客、パートナー、従業員をこれまでとは違う形で結び付けることを可能にする技術を「ソーシャルエンタープライズ」という言葉で普及させてきた。今年初めには、IT分野で商標登録を申請している。
この事態に対して、社会貢献の分野から「ソーシャルエンタープライズの意味について混乱を招く恐れがある」との懸念が出ていた。社会貢献の分野では「ソーシャルエンタープライズ」という言葉を、営利か非営利かを問わず、商業的戦略に基づいて貧困撲滅や教育向上などの人道的、もしくは環境上の課題解決を目指す組織として定義している。
Salesforce.comは、こうした懸念を表明している関係各所と話し合いを続けてきたが、総合的に判断した結果、商標登録申請を取り下げることにした。同社はマーケティングツールとしても「ソーシャルエンタープライズ」を使用しない予定としている。同社の会長兼最高経営責任者(CEO)のMark Benioff氏が以下のようにコメントしている。
「創立以来、社会貢献活動を広く支援しており、社会貢献の分野に混乱を起こすことは、まったく意図するところではない。このため、関係各所からのフィードバックを検討した結果、“ソーシャルエンタープライズ”の商標登録申請を取り下げ、今後マーケティングでも、この言葉の使用を取り止めることにした」