Chatter躍進の背景にある「ソーシャルエンタープライズ」--SFDC幹部が解説

五味明子

2011-12-19 11:56

 SaaS型の顧客管理システム(CRM)の成功で「クラウドの勝ち組」として急成長を遂げ、いまもビジネスの勢いが止まらないSalesforce.com。同社は2010年6月、クラウドベースの企業向けコラボレーションサービス「Salesforce Chatter」の提供を開始。以来、ワールドワイドで5万を超える企業や組織で導入されている。日本企業でも大企業をはじめ採用事例が増えつつあり、12月6日には徳島大学のChatter大規模導入(1万1000ユーザー)が発表された。

 CRMの世界だけでなく、企業内コラボレーション、いわゆる「ソーシャルエンタープライズ」の分野でも着実にリーディングカンパニーとしての地位を不動のものにしようとしている。

 ソーシャルエンタープライズは企業にどんな価値をもたらすのか。そしてSalesforce.comの優位性は何に基づいているのか。

 2011年12月、東京・港区で2日間に渡って開催された「Cloudforce 2011 Japan」のために来日したChatterビジネス部門シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのKendall Collins氏に話を聞いた。

--Chatterの導入企業数が順調に伸びていると聞きました。Chatterの普及の背景にある「ソーシャルエンタープライズ」の重要性について教えてください。

Collins氏:どの企業のCEOも自社のビジネスを成長させたいと願っています。そして成長の原動力となる要素として我々は、

  1. 技術、イノベーション
  2. ソーシャルエンタープライズ
  3. ブランディング
  4. 良い人材

 の4つを重要視しています。そしてとくに旧い体質の企業ほど、技術力はあってもソーシャルエンタープライズの面で遅れていることが多い。

 ソーシャルへの対応が遅れると、社会やビジネスを取り巻く状況の変化にキャッチアップすることが難しくなります。ご存知の通り、現在の変化の度合いはかつてないほど速く、そして大きい。顧客やエンドユーザーの反応をすばやくキャッチし、エンゲージしていくことは、企業競争力を高めるためにもはや欠かせません。

 ソーシャルエンタープライズとは、従来までの顧客対応とはまったく別物です。リアルタイムで情報を取り込み、分析し、顧客とつながりをもち、生産性を上げ、利益につなげていく——非常にパワフルでプロアクティブなアクションなのです。

--ソーシャルエンタープライズをうまく使いこなせない企業は、時流から取り残されていく、と?

Collins氏:ひとつ例を挙げましょう。Bank of Americaという歴史ある銀行があります。米国最大の金融機関ですね。にもかかわらず、ここ数年、同行に対するマイナスイメージは大きくなっていく一方です。原因はいくつもあるでしょうが、ソーシャルエンタープライズをうまく使いこなせていないことで顧客の反発を呼んでいることも大きな理由のひとつでしょう。Bank of Americaも顧客の声をもっと聞きたい、意見を取り入れたいと思っているはずなのですが、ソーシャルな手段を正しく理解していないため、誤った対応を重ねてしまうのです。

(註:Bank of Americaは2011年9月、同行が発行するデビットカードから月額5ドルの手数料を取ろうとしたところ、一般消費者からの猛反発に遭い、計画を撤回したという経緯がある)

--ソーシャルエンタープライズのターゲットには、「インターナル(社内)」と「エクスターナル(社外、顧客や一般消費者)」があると思われます。これからソーシャルエンタープライズに取り組もうとする場合、どちらから手をつければよいのでしょうか。

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