Collins氏:IBM Lotusは15〜20年前の技術をベースにしている製品です。つまり過去に導入した企業にとっては、ウイルスのようにあちこちに埋め込まれていて、逃げたくても逃げられない製品のような気がします。
最大のライバルは、と聞かれればMicrosoftになるかもしれません。しかしSharePointだけでソーシャルエンタープライズを実現するのは無理があります。繰り返しますが、クラウドベースのChatterは何にでもつなげられるオープン性が大きなメリットです。Microsoftのような閉じた世界観の下で作られた製品とは違います。
Chatterはソーシャルエンタープライズという市場そのものを開拓してきた製品です。3年前にMarc(Benioff氏、Salesforce.comのCEO)が構想を描き、以後わずかな期間で多くの企業に支持されてきました。その背景にはクラウドという市場で我々が培ってきた信頼——セキュリティ、プラットフォームの可用性、ソーシャルネットワークとの連携といった技術への信頼があります。これは競合他社にない強みです。
--MicrosoftはCRMの分野でもSalesforce.comと競合関係にあります。Dyanmics CRMは最近、Salesforceに追いつこうとさまざまな施策を打っていますが、個人的には追いつくのにまだ時間がかかるように思えます。
Collins氏:Microsoftがここ数年で出してきたソリューションを見ていると、ゲーム(Kinect)以外はほとんど勢いを感じません。なぜ彼らはどの分野でも1位になれないのか。それは技術的な側面よりもビジネスの側面に理由があります。
過去に成功した課金モデル——我々から見たらそのモデルはすでに死に瀕しているのですが——そこから脱却できないのです。
私が子供のころ、父から「新しい海に漕ぎ出して行きたいと思ったら、海岸を離れなくてはならない」とよく聞かされました。海岸にはかつて黄金が埋まっていたかもしれないけれど、もうそこにはないのであれば海に出ていかなければならない。ところが昔の黄金の記憶が強すぎて、いまだに海岸にしがみついて離れられないのではないでしょうか。
--今年5月に買収を完了したRadian6についてお話を聞かせてください。クラウドベースのソーシャルメディア分析ツールの草分け的存在として、多くの優良企業を顧客にもっているRadian6ですが、買収金額(3億2600万ドル)が高すぎるのでは、という報道もありました。
Collins氏:高すぎる? とんでもない!!あんなお買い得な買い物はそうそうないですよ(笑)