iPadを利用するPOSレジシステム「ユビレジ」を提供するユビレジは2月13日、ユビレジで管理している売り上げ情報や顧客情報を、セールスフォース・ドットコムが提供する業務アプリケーション基盤「Force.com」と連携させる拡張機能「ユビレジ for Salesforce」を提供すると発表した。
これにより、セールスフォースが運営するビジネスアプリケーションのマーケットプレイス「AppExchange」上にある1775種類の業務アプリと、ユビレジを連携できるようになる。これまで、ユビレジ単体ではできなかった、売上分析や在庫管理、分析レポート作成といった複雑な機能を実装できる。
ユビレジの木戸啓太社長
ユビレジの最も大きな特徴は、レジシステムを低コストで実装できること。これまでは、特に10~20店舗を展開する飲食店など比較的小規模なビジネスを手掛ける企業が導入してきた。
ユビレジの木戸啓太社長によると、一般的なレジシステムの導入コストは数十万から100万円に及び、そこに保守費用が月額数万円掛かってくるという。ユビレジはiPadがあればその他は月額5000円の利用料を支払うだけで済む。今回追加するユビレジ for Salesforceの利用料は、1IDで700円となっている。
Force.comと連携させることにより、様々な業務アプリケーションをユビレジに取り込むことができるため、機能拡張の可能性が大きく広がることになる。リリース当初は、ユビレジで管理する売り上げや顧客情報などを10分に1回のペースでForce.comに送信する仕様になっているという。
一方、通常のレジシステムと比較した場合の課題を挙げるとすると、ハードウェアとしてのiPadに依存することになるため、処理能力にある程度の限界がある点だ。木戸氏によると「1日に400会計ほどならパフォーマンスなどに問題はない」とする。
顧客分析などの高度な機能が利用できる可能性が広がったが、現状ではスーパーマーケットのレジのような極めて高速な処理が求められるケースよりは、バーや雑貨店、アクセサリーショップといった比較的レジのトランザクション数が少ない業態での利用を想定している。
「目標は世界で6億人が利用するシステム」と話す木戸氏。北米のユーザーなどは、App Storeからユビレジを自ら見つけ出して、利用しているそうだ。だが「当面は日本の顧客開拓が中心。コスト競争力を考えると、われわれの目の前には膨大な市場があると考えている」(同)。
ユビレジに目をつけているのはセールスフォースだけではない。ソフトバンクグループやKDDIといった携帯キャリアも以前から代理店契約を結び、営業リソースをかけて販売している。コストメリットの大きさと、今後の機能拡張の可能性、利用企業の導入しやすさという意味で、企業向けモバイルアプリケーションとしては注目されている。