アビーム、心理分析を交え顧客視点の深堀りによる新CRMを提唱

怒賀新也 (編集部)

2013-02-18 09:00

 アビームコンサルティングは2月18日、企業の収益基盤強化を目的にしたCRM活動を次のステージに引き上げるための新サービスを提供すると発表した。売り手主導ではなく、顧客から見たサービスへの評価を深堀りし、心理的な方法論も交えながら顧客の不満を取り除き、顧客とのコミュニケーションの質を高めることに焦点を当てる点が特徴だ。サービス名は「ABeam Customer Focus」。枠組みとして大きく、マーケティング、顧客接点、セールス、カスタマーサービスの4つで構成する。

 特徴的なのは、マーケティングにおいて「顧客自身が気づいていない潜在的なニーズを掘り起こし、マーケティング手法を変える」こと。従来のように年齢、性別、居住地、職種、家族構成といった属性情報に頼るだけでなく、心理的な要因を反映させることで、目に見えなかったニーズをあぶりだすという。

 アビームはそのための独自のアンケート手法を開発。従来はできなかったような顧客分類を実施する。例えば、アンケートによって、複数の対象者を「波風を立てる派」「時流に乗ろうとする派」「自己主張は抑える派」「長いものに巻かれる派」のような4象限で構成するマトリックス上に配置する。

 その上で、各象限においていくつかの顧客分類を設定する。例えば、波風を立てる派の象限に「オレサマタイプ」「超ポジティブタイプ」などの顧客層を設定するわけだ。長いものには巻かれる派なら、「人任せタイプ」「現実主義タイプ」といった具合である。

 そこで新たに設定した顧客層は、従来型の手法では決して同じ分類にならなかったような人々で構成されるという。例えば、ある心理的な特徴が一致した、二十代後半の女性と五十代前半の男性が同じ層に分類される。その心理的な特徴に着目し、この層に向けた新しいタイプの商品を企画したり、マーケティングを展開したりすることで、顧客は自分では気づいていなかったような新たな喜びを発見できることになる。同時に、それはサービス提供者にとっての成功につながる。

 もう1つの枠組み、顧客接点における取り組みでは、顧客が不満を持つ「ペインポイント」の解消に取り組む。これにより、自社の製品やサービスに接する顧客の満足度を上げ、ロイヤルティを高めるのが狙いだ。さらに、最近のソーシャルメディアの利用者増も1つの要因として踏まえ、自分の経験を他社に紹介して新規顧客を呼び込んでくれるいわゆる「アドボカシー層」を把握、その数を増やすことで新規顧客の開拓に生かしていくことも、アビームが打ち出す新たなCRMの特色だ。

 アビームコンサルティングの執行役員でCRMを担当するプリンシパル、中本雅也氏は、十数年にわたってCRMに携わってきた経験から「Facebookなどのソーシャルメディアはマーケティングにおいてはあくまでもツールに過ぎない。その前の段階で、顧客との接点の質をいかに高めていくかを考えなければ、ツールの導入がマーケティング手法として成功することはない」と話している。

 新サービスの参考価格は、顧客戦略策定や新ビジネスの基本構想策定で980万円から。関連サービスを含め、初年度20億円の売り上げを目指している。

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