多くの企業はソーシャルメディアの採用に難色を示してきている。要するに、ソーシャルメディアはまだ始まって間もない流行でしかなく、あまりにも目まぐるしく状況が変化しているため、会社の意思決定者の多くはコミュニケーションツールというよりは趣味の領域にあるものと捉え、そういったものに割くリソースはないと感じているのである。しかし実際のところは、どのような企業でもその意図とは関係なく、ソーシャルメディアの世界にその身を置いているのだ。あなたの会社が顧客を相手にしているのか、投資家を対象にしているのか、他の会社と取引を行っているのかに関係なく、世の中の人々はあなたの会社について話題にしており、ソーシャルネットワーク上でも話題にしている。このためソーシャルメディアに進出するためのリソースを割き、会話の主導権を握る機会を手にしてほしい。ソーシャルメディアを無視するなら、うわさになっている話題について発言することもできない。
しかし、Facebookページを立ち上げ、Twitterでツイートするだけで会話の主導権が手に入るわけではない。まずはソーシャルメディア戦略を立案、準備する必要がある。また、ソーシャルメディアでの責任を突如背負わされる多くの従業員にとって、手を付けること自体がチャレンジとなるはずだ。さらに、私生活でソーシャルネットワークを使っておらず、マーケティングやテクノロジと自らの仕事の接点を見い出せないがゆえにソーシャルメディアでの責任がどのようになるのかを理解できずに途方に暮れている従業員にとって、こういったことはなおさら難しく感じられるだろう。
ある賢人はかつて、「あわてるな、そして常にタオルのありかを忘れずに」との言葉をのこしている。オンラインでの対話を始める際も、あわててはいけない。事前に計画しておけば、オンラインコミュニティーで何が起こったとしても対処できるだけの準備が整うはずだ。ソーシャルメディアをタオルだと捉えてほしい。つまり、さまざまな用途があり、混乱した状況を元通りにするうえで、おそらくは最も便利なものであるというわけだ。ソーシャルメディアの世界に足を踏み入れる前にその戦略を用意しておけば、準備は整ったと言えるだろう。