日本IBMは9月10日、東京・表参道の青山ダイヤモンドホールにおいて、「IT Leaders' Vision 2013」を開催した。「変化するビジネス、進化するテクノロジー、CIOのチャレンジ」をテーマに、講演およびパネルディスカッションを行い、米IBM Research Director and DE、Cloud Innovation TechnologiesのDaniel M. Dias氏は、「先進テクノロジーがビジネスとITにもたらす革新」をテーマに講演した。
米IBM Research Director and DE、Cloud Innovation TechnologiesのDaniel M. Dias氏
Dias氏は、メインフレームというテクノロジの第一の波が、クライアント/サーバの第2の波、World Wide Webという第3の波を経て、現在はソーシャル、モバイル、クラウド、ビッグデータ、アナリティクスによって構成される第4の波として押し寄せているとする。
これにより「自立的に認知するコンピュータシステムの時代が訪れている」と前置きしながら、「新たな時代において、クラウドは重要な役割を果たす。かつてのクラウド1.0はコストを削減することに注力し、クラウド2.0はプラットフォームの最適化が主眼となった。その先にあるのは、ソフトウェア定義型環境(Software Defined Environments=SDE)によるクラウド環境であり、ビジネスへの機敏な対応と、継続的な可用性(SoE)と企業の効率性と継続性(SoR)が実現されるものになる」とした。
テクノロジのうねり
ここでは、OpenStackやTOSCAなどのオープンな技術が重要な役割を果たすとし、「オープンで拡張可能なプラットフォーム、クラウドサービスを自動化するために使いやすいオーケストレーター、すぐに利用可能な自動化したパッケージなどが求められ、これらにより、サービスとアプリケーションの容易な管理、ワークロードの最適化と弾力化などが実現する」とした。
さらに、クイズ番組のJeopardy! でクイズ王に優勝したWatson(IBMのコンピュータ)についても紹介。「われわれは、WatsonをJeopardy! 以外に適用できないかということに取り組んでいる」とし、「医療分野への適用では、医療記録全体から必要となる情報を引き出し、医師との対話により答えを出力し、さらなる情報収集により正確な回答の確信度を確定。さらにシステムが学習することでさらに進化するといった利用が可能になる。また、別の事例としては、コールセンターのオペレータを支援するWatsonの適用もインドで始まっている」などと語ったほか、「日本の企業とも実証実験を行いたい」と述べた。
また、「ITシステムとデリバリーは、コグニティブの時代へ」とし、「知恵と学習システムを活用した認知の時代がやってくる。認知システムによる新たな世界が生まれる。いまの環境を理解することで人や社会を支援する。今後は、人が究極の創造力を発揮するために、認知システムの成長を考えていく必要がある」と締めくくった。
ソフトウェア定義環境の説明