ストラトスフィアは9月11日、SDN(Software Defined Networking)の最新動向と同社の取り組みに関する記者説明会を開催した。SDNをオフィスネットワークに適用した新製品「OmniSphere」の開発状況とアライドテレシスとの技術協力の状況について明らかにしている。
SDN技術をオフィスネットワークに適用するOmniSphere
ストラトスフィアは2012年4月にインターネットイニシアティブとACCESSの合弁会社として設立された企業。SDN技術をベースに、次世代クラウド環境を構築するソフトウェアの研究開発を行っている。製品として2012年10月からネットワーク仮想化製品「Stratosphere SDN Platform(SSP)」を提供しており、現在、6月に発表したOmniSphereの開発に取り組んでいる。
ストラトスフィア代表取締役社長の浅羽登志也氏
OmniSphereは、物理ネットワーク上にVLANとVXLANの仮想ネットワークを構築することで、オフィスや拠点などをまたいだ同一の仮想ネットワーク上でPCやモバイルデバイスを管理できるようにするソリューションだ。
企業内のネットワークではしばしば、組織変更やレイアウト変更のたびに有線LANや無線LANを再設定する必要がある。たとえば、有線LANでは、VLANを使って部署やプロジェクトごとにネットワークを分離するが、それらの変更の際にはフロアスイッチなどを再設定する必要がある。また、無線LANでは、ネットワークごとにアクセスポイントを設置したり、複数のSSIDでアクセスさせるといった手間が必要になる。
「OmniSphereは、SDN技術をオフィスネットワークに適用することで、そうした運用管理の負担を削減する。ユーザーは、フロアを移動したり、階を変えたりしても、ネットワークが変わったことを意識しなくてもよくなる」(ストラトスフィア代表取締役社長の浅羽登志也氏)
具体的には、OmniSphereスイッチやOmniSphereアクセスポイント(共通SSID)を使って、部署ごとのネットワークにある端末を適切な仮想L2ネットワークにつなぐ仕組み。通信はL2で行われるため、ユーザーは、今までとまったく変わらずネットワークを利用できる。一方、スイッチやアクセスポイントはL3接続であり、別サイトのデータセンターやクラウド環境といった任意のネットワークにつなぐことができる。
また、MAC認証やユーザー認証での端末識別や、端末単位でのトラフィックのフロー制御、QoSの設定も可能。ユーザーごとに追加のアプリケーションをインストールしたりする必要もない。

図 有線LANのケース

図 無線LANのケース