トレンドマイクロは9月17日、「勤務先における業務ファイル共有に関するアンケート調査」の結果を発表した。勤務先から「禁止されている」「規定があるかどうか分からない」ファイル共有ツールの使用について、従業員の3割以上(33.3%)が利用した経験があると回答するなど、企業のIT統制が現場の実情とかみ合っていない現状がうかがえる結果となった。
あなたは、現在の勤務先で、業務ファイルを社外とやりとりするため、会社が許可していない、もしくは許可しているかどうかわからないツールを使用していますか? また使用した経験がありますか? (単一回答。対象:従業員、n=309)
「業務ファイルを社外とやりとりするため、会社が許可していない、もしくは許可しているかどうかわからないツール」の利用状況を聞く設問では、「日常的に使用している」(10.0%)、「時々利用する」(12.6%)、「過去に利用したことがある」(10.7%)、「過去に一度も使ったことはない」(54.7%)という結果だった。全体の33.3%が企業の規則を破る、もしくは無断でファイル共有ツールを利用した経験があるとした。
あなたがお勤めになっている会社・組織では、業務ファイル(業務で利用するエクセルやパワーポイント、ワードなどのファイルなど)を社外とやりとりする場合、次のようなツールの使用が許可されていますか?それぞれのツール毎に、最もあてはまるものを1つずつお答えください。(項目ごとに単一回答。 対象:従業員、n=309)
従業員のITツール利用規定を設けている企業はどの程度あるのだろうか。「勤務先でどのようなITツールが許可されているか」の設問では、従来型のメール(ウェブメール以外のメール)については約8割が使用可否に関する規定があると回答した。
一方、昨今個人向けサービスを中心に利用が浸透しているオンラインストレージについては、半数以上が勤務先において「規定がない」「規定があるかどうか分からない」としており、多くの企業で、オンラインストレージの業務利用に関するルールが未整備であることがわかった。「オンラインストレージなどの普及しつつあるITツールを含め、業務ファイル共有に関するルールの整備が求められる」(トレンドマイクロ)
グラフ3:あなたは、従業員が社外と業務ファイルをやり取りする際に、会社が許可したものではない(もしくは条件付きで許可している)、次のようなツールを使用していると思いますか? それぞれについて、最もあてはまるものを1つずつお答えください。(単一回答。対象:オンラインストレージの利用を禁止している、条件付きで許可している企業の情報管理者、n=189)オンラインストレージの業務利用について:
オンラインストレージの業務利用に対し規定を設けている企業では、「従業員の勝手なオンラインストレージの業務利用」に関する設問に、「多くの従業員が使っていると思う」(10.1%)、「一部の従業員は使っていると思う」(54.5%)、「決して使っていない」(33.9%)などと回答している。トレンドマイクロは「情報管理者は、新しく普及しつつあるツールの利用に関して問題点を認識しているが、実効性のある統制がとられていないことがうかがえる」と説明する。
あなたは、会社・組織が指定している業務ファイルの共有ツールが、社外とファイル共有を行うツールとして十分だと考えていますか?そうではない場合、不十分と考える理由を全て選択してください。(複数回答。対象:会社が指定したファイル共有ツールのみを利用するように指定している情報管理者、n=79)
業務ファイルを共有する際に利用するツールを指定している情報管理者のうち59.5%が、現状指定しているツールについて、機能が不十分であると認識している。主な理由として、「ファイルが外部に漏えいするリスクがある」(30.4%)、「従業員の業務効率を下げている(20.3%)」などが挙がった。トレンドマイクロは「個人・企業向け問わず、利便性の高いITツールがますます普及する中で、企業として安全な業務ファイルの共有方法を検討するにあたって、業務の効率性と安全性のバランスをいかに取るかが重要である」とコメントしている。
調査は社外との業務ファイル共有を行う情報管理者309名に対し、2013年8月24~26日にインターネットで実施した。