楽天はデータベース(DB)基盤を強化し、自社サービスの拡大にシステム面で対応している。基盤を構築した日本オラクルが10月21日に発表した。
楽天は、オラクルのハードウェアとソフトウェアを統合した垂直統合型システム「Oracle Exadata Database Machine」(Oracle Exadata)の導入によりDB基盤を刷新した。事業の拡大を担保するシステム基盤の強化のためシステム構成を見直し、楽天会員ID向けDBサーバや「楽天市場」の商品データベースをはじめとする多数のサーバをOracle Exadata上に集約。ITリソースの最適配分やシステムの柔軟性向上、運用コストの削減を実現した。
新システムではDB保護サービス「Oracle Active Data Guard」を利用。災害対策環境を整え、保守パッチ適用時のサービス停止を避けられる多重化構成とし、安定稼働を実現しているという。
楽天では従来、商品を扱うDBを複数のDBに分割して格納しており、アプリケーション側のプログラムで問い合わせを各DBに振り分ける処理をしていた。この仕組みをOracle Exadataに集約して一元管理することで、アプリケーション側の振り分け処理と保守作業の手間を解消した。
またOracle Exadataのリソースを活用してプライベートデータベースクラウド環境を構築。複数のシステムをスペースや時間ごとにテナント式で提供できるようにした。すでに海外向けなど一部のサービスを同環境から提供開始しており、年内に順次立ち上がる予定という。
さらに、取引情報からデータウェアハウスを新たに構築し、店舗別や商品別などさまざまな軸で分析できるようにした。出店している店舗へのアドバイスやサービス改善に情報を役立てているという。楽天では、これらの複数のシステムをOracle Exadataに集約して標準化を進め、運用負担を軽減し、新サービスの迅速な開発をより一層強化したという。
同プロジェクトは、オラクルユニバーシティの技術研修とオラクルコンサルティングの支援のもと、楽天の技術者が構築作業を実施した。ミッションクリティカルな環境でのシステムの運用監視により、サービス数の増大時でもシステムは安定的に稼働し、応答時間も大幅に短縮したとしている。