国内でのオンライン銀行詐欺ツール検出数が過去最多--昨年比3.1倍に

山田竜司 (編集部)

2013-11-11 16:48

 トレンドマイクロは11月7日、2013年7~9月の第3四半期における世界のセキュリティ動向を分析した報告書を公開した。日本では、オンライン銀行詐欺ツールの検出数が昨年同期比で約3.1倍に増加し、特に8月は過去最多の9282件と、国内外でネット詐欺行為が活発化しているという。

 サイバー犯罪のトレンドとして海外では、8月にはオンライン銀行詐欺ツールの「ZBOTファミリー」が、スパムメールに添付された不正プログラムとして、全体の23%を占めた。スパムメールで拡散された最多の不正プログラムとなったとトレンドマイクロは説明する。

 日本では他にも、データの回復のために「身代金」を要求するマルウェア「ランサムウェア」の検出台数が8月に過去最多となり、前年同月比で約9倍の5769件だったとした。ランサムウェアは初めて被害が報告された5月以降増加中で、8月には過去最多の71件の感染被害があった。偽セキュリティソフトの検出も7月には9万6690件と今年最多だった。

 フィッシング詐欺関連では、日本において特定のゲーム会社を狙った詐欺サイトが急増。第3四半期にはゲームの新発売にあわせて1237件のサイトが確認された。トレンドマイクロは、マネーミュールと呼ばれる「不正送金の実行役を求める日本語スパムメール」が初めて出現したことに振れ、攻撃者が本格的に日本を活動のターゲットとしてきたと推測する。

 海外では新型iPhoneの発売などに便乗したフィッシング詐欺が第2四半期から拡大し、今期も継続中とした。さらに米国のフィッシング詐欺サイトでは、モバイルオンライン銀行サイトを装い、身分証明書をアップロードさせ、個人情報を奪おうとするものが出現したという。日本では、この四半期に確認されたフィッシング詐欺サイトの多くがオンラインゲームを標的としており、仮想空間のアイテムを狙う攻撃が顕著だったと報告した。

 サイバー攻撃のトレンドとしては9月、匿名ネットワーク「Tor」においてボット化したコンピュータ群に指令を送る「C&Cサーバ」に接続し、「バックドア」(再侵入可能なサーバ裏口)を作成するプログラム「Mevade」が確認された発表した。日本では発見から1カ月で検出数が22万件を超えたと説明。Torを利用した攻撃者の狙いは、匿名ネットワークによりC&Cサーバを隠ぺいし、調査やC&Cサーバとの通信の切断を免れるためと推測している。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]