56台を6台に--王子グループ、クラウドにx86ブレード「IBM Flex System」

大川淳

2013-11-20 14:37

 王子ホールディングスは、グループ企業向けクラウド基盤としてx86ブレードサーバ「IBM Flex System」や統合管理アプライアンス「IBM Flex System Manager(FSM)」、仮想化環境の管理を簡素化するソフトウェア「IBM SmarterCloud Entry for IBM Flex System」を採用した。Flex Systemは、IBMの垂直統合型システム製品群「IBM PureSystems」を構成する。

 305以上の企業で構成する王子グループは、紙パルプや紙加工製品を中核に原燃料や資材調達などを主力としている。同社は、営業系や工場製品管理の業務はメインフレームを、物流や人事などの業務にはUNIXサーバを、会計や決算、旅費、経費、購買、就労管理、メール、ファイルサーバなどにはIAサーバを利用してきている。

 同グループでは、情報システムの基本戦略として、事業環境の変化に迅速、柔軟に対応できるシステム基盤の確立を目指し、2008年からグループ企業向けのクラウド環境構築に着手している。2008年以降、IAサーバのほとんどを仮想化して統合した。その一環として、現在WindowsやLinuxで稼働するオープン系アプリケーション基盤の統合とサーバ仮想化による利用率向上、運用管理コストの削減、システムの拡張性と柔軟性を強化するため、PureSystemsの採用を決めた。

 今回のインフラ最適化プロジェクトは、IA仮想サーバの移行、次にIA物理サーバの移行、その後でUNIXサーバの移行という工程で進められている。現行のシステムはオープン系アーキテクチャを導入し、仮想化を展開してきたが、同社は一層の総所有コスト(TCO)削減を目指し、新たな取り組みを開始した。

 同社では、Flex Systemが搭載する仮想化機能を活用し、vSphereやHyper-V、KVMなどの複数のハイパーバイザ上で稼働する現行のx86ブレードサーバ56台を6台の「IBM Flex System x240」に統合した。Flex Systemが擁する、単一コンソールでの一元管理機能で複数のOSやハイパーバイザ上で稼動するシステムの物理リソースと仮想リソースの管理を統合して、保守運用作業による負荷を低減化することを図っている。

 プロジェクトの次の段階では、IA物理サーバ85台とUNIXサーバ25台も統合して10台のFlex System x240、RISCプロセッサ「POWER7+」を搭載するUNIXサーバ「IBM Flex System p460」2台に集約できるとの見通しを示している。

 Flex Systemを採用した理由として、同社では仮想化や統合化の範囲を拡大でき、保守運用の効率化を実現するために運用自動化技術を搭載していることを挙げた。加えて、実際の必要性に応じて柔軟に対応できる拡張性、プライベートクラウド環境を容易に構築できることなども評価している。


王子ビジネスセンター 取締役 業務本部長 島田政明氏

日本IBM システム製品事業 PureSystems事業部長 長南広氏

 王子グループ全体にサービスを提供するシェアードサービス会社である王子ビジネスセンターの取締役で業務本部長の島田政明氏は「IAサーバの領域を刷新、整備するにあたりブレードの追加という手段も考えたが、それとほぼ同等の費用でFlex Systemを導入できた。従来の単体アーキテクチャでは拡張に限界があるが、今後10年のグループ基盤を支えるとの点でFlex Systemに将来性を感じた」と話す。

 現在、年間のIT投資は、運用保守費用が70~80%を占めていると指摘されている。ソーシャルメディアやモバイル端末の普及でいわゆる情報爆発の状態になりつつある一方、85%のCPUが稼働していない非効率性などの課題を抱えている。これらを解決するための解答としてIBMが掲げているのが「Smarter Computing」であり、クラウド、データ、セキュリティの3つが重点化されている。この3つの戦略に沿った具体的な製品がPureSystemsだ。

 日本IBM システム製品事業 PureSystems事業部長の長南広氏は「スマートデバイスの進化で、企業には新たな顧客との接点が現れ、ビッグデータの拡大につながっている。それをいかにビジネスに生かすかが大きな課題になっている。これからの時代には、ビッグデータ活用の仕組み、できる限りの自動最適化、一層のオープン化――この3つの要件が重要となり、 PureSystemsはこれらを満たす製品」であると強調した。

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