日本時間の4月9日にMicrosoftによるWindows XPのサポートが終了する。サポート終了後もWindows XPを使用し続けた場合、企業や組織にどのような影響があるのか。Gartnerが以下の質問形式で解説している。
――改めて、Windows XPのサポート終了に関する問題は何か教えてください。
Windows XPのサポート終了に伴い、セキュリティに対する攻撃の数も重大さも高まり、企業や組織は増大するリスクにさらされることになります。また、Microsoftによるサポートを継続させるには、高額なカスタムサポート契約が必要となります。
――現在もWindows XPを使用している企業や組織の数はどれくらいですか。
非常に多いです。実際のところ、何らかの形でWindows XPを残している組織はすべてと言ってもいいでしょう。たとえば病院などでは、現在もWindows 95が数多く使われています。グローバル全体で、サポート終了後もWindows XPを使用するシステムの割合は20~25%に上ります。国内でもサポート終了後に20%以上の企業は、主流のOSとしてWindows XPを利用すると見ています。
――サポート終了後もWindows XPを使い続けた場合、システムのセキュリティリスクが高まりますが、Windows XPを使用している企業はどのように対処すべきでしょうか。
これにはさまざまな対策がありますが、代表的なもの以下3つが挙げられます。
- できるだけ速やかにWindows XPの使用を中止するプランを立てる
- XPマシンを使用するユーザーの利用制限を厳格化し、ホワイトリスト方式などのツールを採用し、Windows XPマシンで問題ないことが分かっている既知のアプリケーション以外アプリケーション以外は実行しないようにする。XPマシンからのネット接続とメールの利用を最小限にする。
- 基幹アプリケーションとユーザーをサーバベースのコンピューティング環境へ移行させること。ライセンスやコスト、キャパシティの問題でユーザーやアプリケーションを移行できない場合は、緊急時に備えて、サーバへアクセスできるようにアプリケーションをインストールする
――サポート終了後もWindows XPを使い続けた場合、その他にどのようなリスクがありますか。
たとえWindows XPを使用していない企業や組織であっても、誰かがパッチの当てられていないWindows XPマシンをネットワークに接続すると、セキュリティ上の問題が発生する恐れがあります。
――Windows XPの使用を中止する場合、Windowsの後継バージョンや他のOSへの移行を開始する前に決めておくべきことや対処しておくべき問題はありますか。
現在ほとんどのアプリケーションはWindows 7をサポートしています(中にはWindows 7をサポートしていない古いアプリケーションやバージョンを使用している企業があるかもしれません)。このため、アプリケーションテストが重要で、Windows 7とWindows 8のどちらに移行するのかを決定しなければなりません。
市場におけるアプリケーションサポートを考慮すると時間的にはWindows 7への移行の方が早いと思われますが、Windows 7のサポートは今から6年ほどであり、2020年1月に終了することも考慮しなければいけません。
また、サポート終了までの期間ということでは当然ながら、Windows 8への移行の方がより長期性があります。いまだにWindows XPからの移行を済ませていない企業や組織は、Windows 7のサポート終了時に今回と同じ状況に陥らないようにしなければなりません。多くの企業や組織にとって最良のオプションは、主要なユーザーとアプリケーションを直ちにWindows 7へ移行し、2015年以降はWindows 8あるいはその後継OSへの移行を進められるように準備を整えることでしょう。
――Windows XPの利用に関する日本企業向けのアドバイスはありますか。
日本国内でも、サポート終了後に多くの企業がWindows XPを利用し続け、セキュリティリスクにさらされることになります。移行に着手していない企業はクライアント環境の最優先プロジェクトとして、後継OSへの移行を推進すべきです。サポート終了後もWindows XPが残る企業は、セキュリティ対策や代替策を早急に検討し、対策を実施する必要があります。
ただし、今後Windows XPのシステムは今後明らかに衰退していき、万能なセキュリティ対策は難しいことから、特に重要と位置づけられるシステムについては、1年以内をめどに、移行プロジェクトを完了させることを目標とすることを推奨します。