セキュリティ対策の位置づけがリスク回避策から生産性向上策へ--IDC

山田竜司 (編集部)

2014-05-27 16:06

 IDC Japanは5月27日、2013年の国内セキュリティ市場規模実績と2018年までの予測を発表した。SaaS型ソフトを含むソフトとアプライアンスを合わせたセキュリティ製品市場は前年比11.2%増の2476億円。コンサルティングやシステム構築、運用管理、教育などを含むセキュリティサービス市場は同比6.0%増の6043億円だった。

 セキュリティソフトウェア市場の2013~2018年の年平均成長率(Compound Annual Growth Rate:CAGR)は3.8%、2018年には2494億円に拡大すると予測する。2014年以降は、クラウドサービスやモバイル端末の利用拡大、標的型サイバー攻撃の増加により、アイデンティティ/アクセス管理とエンドポイントセキュリティ、セキュリティ/脆弱性管理への需要が拡大するとみる。

 SaaS型セキュリティソフト市場の2013~2018年のCAGRは11.3%、2018年には184億円になると予測する。運用管理負担の軽減や災害時の事業継続を目的としたニーズが高く、2013年の市場規模は前年比22.4%増の108億円。2014年以降も、運用管理負荷の軽減や事業継続性へのニーズが高く、またサンドボックス技術などマルウェア対策への需要も高まると見ている。

 2013年のセキュリティアプライアンス市場は前年比29.0%増の412億円。2013~2018年のCAGRが4.7%、2018年には517億円と予測する。財政支出政策(アベノミクス)による円安効果と、標的型サイバー攻撃対策としてニーズがある不正侵入検知システム(IDS)、不正侵入防止システム(IPS)やアプリケーション層を制御できる次世代型ファイアウォールを含む統合脅威管理(UTM)への需要が高まる。2014年以降も、標的型サイバー攻撃への対策需要は継続して高く、多層防御を備えたUTM製品やIDS/IPS製品が市場を牽引するとした。

 セキュリティサービス市場の2013~2018年のCAGRは4.1%、2018年には7403億円と予測。標的型サイバー攻撃の増加で、多層防御機能の需要が高まっている。既存のソフトウェアアーキテクチャを変更せずにクラウド化する「Cloud Enabled」サービスの進展により、セキュリティ基盤を組み込んだクラウドサービスの本格的な活用が拡がり、クラウドによる運用管理サービスが拡大するとした。

 IDCは、モバイルやクラウドテクノロジ、ソーシャルメディアなどを積極的に活用するための情報セキュリティをリスク管理と捉えると、企業での情報セキュリティ対策は、従来のリスク回避対策から生産性を向上させるための対策に変わり得ると提案している。


2013~2018年 国内セキュリティ製品市場 セグメント別売上予測(IDC提供)

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