IDC Japanは6月11日、国内のエンタープライズアプリケーション(EA)とビジネスアナリティクス(BA)ソリューション市場の産業分野別予測を発表した。
2013年の国内EA/BAソリューション市場は、EAソリューション市場が1兆9749億9200万円で前年比成長率は2.7%、BAソリューション市場が9255億1400万円で前年比成長率は4.2%となった。
2013年は、国内経済の回復を受け、ユーザー企業の支出額が増加に転じる傾向が見られた。特に製造業を中心として企業の業績回復による業務システムの刷新/拡張に加え、大手企業による海外進出やグループ事業統合など経営強化への継続的な投資が市場全体の成長に寄与した結果と同社は見ている。
2014年の市場予測については、引き続き堅調な市場成長が見込まれるとしている。EAソリューションは、大企業での導入率が高い統合基幹業務システム(ERP)などの更新需要とともに中堅以下の企業への導入が進んだ。製造業や流通業など複数の産業分野における収益拡大に向けたシステム投資が市場成長をけん引し、国内EAソリューション市場の2013年~2018年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は2.0%で推移し、2018年は2兆1804億5100万円になると予測している。
<参考資料>国内EA/BAソリューション市場予測: 2013年~2018年
BAソリューションについては、多様化する顧客管理とニーズ分析への取り組みが、大量の顧客データを保有する情報サービス業、金融業、通信/メディア業、流通業で活発化し、さらにデジタルマーケティングや需要予測など、EAソリューションとの連携もさらなる市場成長を促すことで、国内BAソリューション市場の2013年~2018年におけるCAGRは4.8%で推移し、2018年の同市場規模は1兆1707億7500万円になると予測している。
国内EA/BAソリューション市場を分野別にみると、現時点では顧客関係管理(CRM)を除きオンプレミス主流の市場となっている。これに対し、IDC Japanソフトウェア&セキュリティマーケットアナリストのもたい洋子氏は、「SaaSに限らず、IaaSやPaaS上でEA/BAソフトウェアを運用するなど、クラウドサービスを活用した柔軟なソリューション提供が市場成長の鍵になる」と述べている。
今後のユーザー企業における収益の最大化と事業拡大には、EA/BAソリューションを複合的に活用するエコシステムの構築が効果的であり、また市場を形成する大規模企業から中堅以下の企業への導入が市場成長を促進することになるとしている。