ビジネスアナリティクス市場:底堅い成長続く、小売業の支出が拡大

田中好伸 (編集部)

2012-05-07 13:27

 IDC Japanは5月7日、日本国内のエンタープライズアプリケーション(EA)ソリューションとビジネスアナリティクス(BA)ソリューション市場の予測と同市場を対象にしたユーザー企業の支出動向の調査結果を発表した。

 2011年の国内EAソリューション市場規模は前年比0.2%増の1兆8863億2800万円。同市場は2008年に2兆991億3400万円でピークとなっており、2009年にはリーマンショックの影響から前年比11.6%減と落ち込んでいる。2010年以降は2年連続でプラス成長で推移しているが成長率は低く、2011年の市場規模はピークとなった2008年の約9割にとどまっている。

 2011年は東日本大震災や電力不足、タイの洪水と国内経済の成長抑制要素が強く、特に製造業が受けた打撃は大きいものと分析している。だが、製造アプリケーションを中心とした製造ソリューションは前年比4.1%増となっている。内需低迷の中で成長戦略を海外に求める動きが加速する中でグローバル分業体制の一環として、生産現場の可視化要求が高まっていることが理由としている。2011~2016年の年平均成長率は2.4%と予測している。

 2011年の国内BAソリューション市場の規模は、前年比3.6%増の8572億7900万円。同市場は、リーマンショックの影響から2009年は前年比4.5%減となっているが、2010年は前年比6.1%増と拡大し、2011年も底堅い成長を維持。2011年のBAソリューション市場を産業分野別に見ると、顧客分析を中心に小売業の支出額が前年比9.3%増と大きく拡大しているという。2011~2016年の年平均成長率は4.6%を予測している。

図 国内EA/BAソリューション市場予測(2011~2016年、出典:IDC Japan)

 IDC Japanが1080社を対象にしたEA/BAソリューションの支出計画に関する調査では、2012会計年度は前年度と比較して、EAソリューションの支出額は抑制傾向が強く、BAソリューションに対する支出計画も2011年度から横ばいの傾向になるという。

 同社の赤城知子氏(ソフトウェア&セキュリティグループマネージャー)は「今後、企業活動のあらゆるオペレーション管理のグローバル化が求められていることからEA/BAソリューションへの支出マインドも海外に向けられる」と予測。「企業の支出マインドを早期に盛り上げるべく、カンフル剤となる低コスト、短期導入型グローバルオペレーションの開発と提供がソリューションベンダーに求められる」とコメントしている。

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