日本オラクルは7月1日、2015年度の戦略説明会を開催。代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の杉原博茂氏は「東京五輪が開催される2020年にナンバーワンクラウドカンパニーになる」と宣言。その実現に向け、これから3年間は足固めの年、次の3年間はジャンプの年と位置付ける。
2015年度は足固めとして、日本法人をフラット化する組織変更を実施。(1)多種多様なクラウドに寄与するクラウドビジネスの拡大、(2)カスタマーエクスペリエンスのさらなる向上を目的とする、直販営業力の強化、(3)新規市場開発のためのアライアンスを含めたGTM(Go-To-Market)戦略の展開、(4)海外成功事例の日本への導入と日本の顧客の海外事業支援を目的とするグローバル組織との連携――という4点を2015年度の戦略とする。
日本オラクル 代表執行役社長兼CEO 杉原博茂氏
業界特化型のクラウドを提供
2014年度(2013年6月~2014年5月)の売上高は1550億円で過去最高。営業利益、経常利益、当期純利益も過去最高となった。2015年度(2014年6月~2015年5月)の売上高は前年度比3.2%増の1600億円を見込むが、杉原氏は「これは堅く、堅く約束した数字」と話した。
強調されたのが「2020年にナンバーワンクラウドカンパニーになる」という目標だ。これは日本法人の目標だが、「Larry Ellison(Oracle CEO)以下、米本社の経営陣からも支持された目標。これまでにもクラウドへの注力を話してきたが、米本社を含め、これからクラウドにシフトしていくことを明確にアピールできていなかった。オラクルが本気でクラウドに取り組んでいるということを自分たちでアピールすることで、これまでになかった変化を感じてもらえるのでは?」と本社にも支持された目標だと説明した。
オラクルではクラウドを、プライベート、パブリック、ハイブリッドをはじめ、SaaS、PaaS、IaaS、さらにコミュニティクラウドやデディケイテッドプライベート、マネージドサービスなど多種多様なものを包含するものとしてとらえている。全てのクラウドに対し、高いポータビリティ、セキュリティや信頼性など業界最高レベルのサービス品質を提供していくという戦略を掲げている。
顧客のIT環境の変化やビジネス環境の変化にも対応し、クラウド拠点が一極集中型から世界各地域への分散型にシフトした際の変化にも対応するといった柔軟性を持っていることを強みとしていく。
今後日本での導入を予定しているのが、業界に特化した製品やサービス、ノウハウを入れ込んだ垂直統合なクラウドサービスの日本への導入だ。流通小売、通信、金融サービス、ヘルスサイエンス、公益、設備など業種に特化したクラウドサービスの導入を計画している。
ナンバーワンクラウドカンパニー実現に向けた取り組みとして、新年度から組織をフラット化する。従来は直販を担当していた、副社長で執行役員の大塚俊彦氏がアライアンス事業を担当し、「顧客の動向を一番知っている人間が顧客にとって必要なアライアンス戦略を立てていく」(杉原氏)
副社長で執行役員の椎木茂氏がリーダーとなって新たに戦略ビジネス推進室を設置する。クラウドビジネスの推進、業種特化型ソリューションを提供、日本企業の海外展開を支援する。
組織のフラット化では、さまざまな製品を組み合わせて顧客ニーズにベストマッチするトータルソリューションを提供できる営業組織を目指したエンタープライズ営業統括を新設する。
また、製品事業体制を再編し、製品営業、市場開発、製品管理が一体となって製品の専門性を持つ組織とする。副社長が統括する組織は社長にレポートを上げる体制へ、エンタープライズ営業統括、製品事業体制の再編はいずれも社長直下の組織として、組織のフラット化を図る。
2015年度戦略
2015年度からの新体制