本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本オラクルの杉原博茂 代表執行役社長 最高経営責任者(CEO)と、ソフォスの纐纈昌嗣 代表取締役社長の発言を紹介する。
「“ナンバーワンクラウドカンパニー”を目指したい」 (日本オラクル 杉原博茂 代表執行役社長CEO)
日本オラクル 代表執行役社長CEO 杉原博茂氏
日本オラクルの代表執行役社長CEOに4月1日付けで就任した杉原博茂氏が先ごろ、記者会見を開いた。冒頭の発言は、同氏が会見で今後のビジョンとして「ナンバーワンクラウドカンパニー」を掲げたものである。
杉原氏は1960年12月生まれで大阪府出身。1982年にフォーバルに入社後、インターテル、EMCジャパン、シスコシステムズを経て、2010年に日本ヒューレット・パッカード(日本HP)常務執行役員エンタープライズインフラストラクチャー事業統括に就任。その後、2013年10月に米Oracleのシニアバイスプレジデント(SVP)グローバル事業統括に就いていた。
会見に同席したOracleのSVPで日本オラクル前社長(現・取締役)のDerek Williams氏は杉原氏について、「日米で幅広い経験を持つ貴重な人材。(米HPの元CEOで現在Oracleプレジデントの)Mark HurdがチーフスタッフとしてSVPに指名した初めての日本人で、すでに米国本社のエグゼクティブとも密接な関係を構築している」と語り、日本オラクルの社長として適任であることをアピールした。
杉原氏が会見で語った内容の詳細については関連記事 を参照いただくとして、その中で筆者が最も印象深かったのは、冒頭の発言にもあるようにクラウドビジネスへの意気込みを重ねて示したことである。
「Oracleの技術はこれからさまざまなクラウド形態に適用されて拡大し、顧客企業をはじめ社会全体に役立っていく。日本でのクラウドビジネスの本格的な展開はこれからだが、グローバルと同様にナンバーワンクラウドカンパニーとして“クラウドならばオラクル”と言われる存在になれるようにしたい」
「日本オラクルの課題は、決して悪くないこと。業績も好調だが、そういう時こそ、次の10年に向けて何をすべきか考え、動いていかなければならない。そう考えると、日本オラクルのビジネスは他の地域に比べてデータベースへの依存の割合がまだ高い。それをミドルウェアやアプリケーション、さらにはクラウドサービスへどう広げていくかが喫緊の課題となる」
「これからのクラウドは、オンプレミスとオフプレミスのバランス、ハードウェアとソフトウェアの融合がますます重要になる。それらに必要な要素における知識や経験を、私はこれまでの経歴で培ってきたつもりだ。したがって、クラウドビジネスには自信を持って突き進んでいける」