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製造業などで2800件以上の被害--Kaspersky Labが世界的スパイ活動を分析

NO BUDGET

2014-08-13 20:43

 Kaspersky Labは7月31日、「Crouching Yeti」(別名:Energetic Bear)と呼ばれるサイバースパイ活動に用いられたマルウェアとC&Cサーバのインフラストラクチャに関する詳細な分析結果を発表した。

 この分析は、同社R&Dの中枢部門として脅威に関する情報収集、調査研究とその成果発表、マルウェアによるインシデント発生時の対応措置を担当するグローバル調査分析チーム(Global Research and Analysis Team:GReAT、グレート)がまとめたもので、原文(英語)はこちら。抄訳を同社日本法人が8月12日に発表した。

 Crouching Yetiの活動は2010年末に始まり、複数のAPT攻撃に関与している。現在も継続中で、日々新たな標的が狙われているという。カスペルスキーの調査によると、被害は当初の予測よりも広範囲に及んでおり、確認された被害組織は合わせて全世界で2800以上、主に米国、スペイン、日本、ドイツ、フランス、イタリア、トルコ、アイルランド、ポーランド、中国に存在する産業/機械、製造、製薬、建設、教育、IT関連といった非エネルギー分野の企業が中心。うち101の組織での被害が特定されたという。

 被害に遭った組織の特性から、主な被害は企業秘密などの機密情報の流出であると考えられ、Crouching Yetiは戦略的に標的を定めているように見える。だが、同時に意図の不明な組織も攻撃の対象となっており、GReATでは、これらの組織が付随的に攻撃されたと見ている。ただし、Crouching Yetiが「特定の分野だけを対象とする標的型攻撃」というだけでなく、さまざまな分野を対象とした「幅広い調査活動」と定義することも妥当かもしれないという。

 一方、Crouching Yetiの攻撃手法は、「最先端とは言えない」とのこと。例えばゼロデイエクスプロイトは一切使われず、インターネット上で簡単に入手可能なエクスプロイトのみが使用されている。それでも、この活動は数年間にわたり発見されずにいた。

 最も多用されたツールは「Havex」と呼ばれるトロイの木馬で、GReATでは、この悪性プログラムとその亜種を合計27種類、さらに複数の追加モジュールを発見したという。また、C&Cサーバには、ハッキングされたウェブサイトで構成される大規模ネットワークを使用していた。

 このC&Cサーバを通じ、パスワードやOutlookの連絡先の詐取、スクリーンショットをキャプチャするツールに加え、特定の種類のファイル(テキスト文書、スプレッドシート、データベース、PDFファイル)や仮想ドライブ、パスワード保護されたファイル、PGPキーを探して盗むモジュールなどを感染PCに送り込んでいる。

 現在判明している範囲では、特定産業のIT環境を対象とした特別なモジュールが2つ見つかっている。その1つは、OPCスキャナモジュールで、ローカルネットワーク内で動作するOPCサーバに関する緻密なデータの収集を目的に設計されたもの。

 OPCとはOLE for Process Controlの略で、製造業で主に用いられるアプリケーション間通信インタフェース仕様。OPCサーバは通常、複数の産業用自動化システムが稼働する環境で使用される。

 このOPCスキャナモジュールにはネットワークスキャンツールが付属しており、ローカルネットワークをスキャンし、OPC/SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition:システム監視やプロセス制御を行う産業制御システム)ソフトウェアに関連するポートを開いている全てのコンピュータを検出する。そして検出されたホストに接続すると、動作中のOPC/SCADAシステムを割り出し、収集したすべてのデータをC&Cサーバに送信する。

 攻撃元の解析では、いくつかの特徴が発見されている。例えば、154のファイルのタイムスタンプを分析した結果から、それらのほとんどがUTC時間の6時から16時の間にコンパイルされており、基本的には西ヨーロッパと東ヨーロッパの各国がこの時間帯に合致する。また分析したマルウェア内に使用されていた文字列は、(ネイティブによって書かれたものではないと思われる)英語であった。

 一方、約200もの悪質なバイナリファイルにも、またそれに関連するコンテンツにも、キリル語(またはキリル語の別言語への音訳)は一切認められなかった。また、フランス語やスウェーデン語の使用を示す手がかりも見つかっている。この活動を以前に調査した他社の研究者の見解とは異なり、GReATの研究者は、この攻撃がロシア発であるとはっきり結論付けることはできなかった。

 Kaspersky Labでは、捜査当局およびセキュリティ業界のパートナーとも連携して調査を継続中。

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