「Windows」からLinuxへの移行というミュンヘン市議会の決定は見直されているかもしれないが、覚えておく価値があるのは、デスクトップにオープンソースを選んだ大規模な組織は、ミュンヘン市だけではないということだ。
LinuxベースのデスクトップOSは、現時点での利用が限定的であるため、大規模な導入への障壁と、その将来の見通しに対する疑念に直面している。
しかし、メジャーなユーザーは確かに存在している。その中には、Googleのような企業も含まれているし、少数ではあるが政府機関も数を増やしている。
この記事では、世界のLinuxデスクトップユーザーの中から、最も注目を浴びている5つの組織を紹介する。
1. Google
Linuxデスクトップを使っていることで最も知られている大企業は、おそらくGoogleだろう。同社は従業員向けに、「Goobuntu」OSを提供している。
Goobuntuは、「Ubuntu」の長期サポート版(LTS)に表面上の変更が加えられたバージョンだ。Googleの従業員は、Windowsを使いたければ、わざわざリクエストしなければならないと言われている。それは、Googleのソフトウェア開発者でBrotherhood of Saint Gregory修道士コミュニティのメンバーでもあるThomas Bushnell氏の言葉によれば、「Windowsは、『特別な』セキュリティ上の問題があってほかよりも難しい面があるため、誰かがそれを使用する前には、上位レベルの権限を必要とする」のに加え、「Windowsのツールは重くて柔軟性を欠く傾向がある」からだ。
Goobuntuユーザーは、グラフィックデザイナーから営業担当者、エンジニア、マネージャーまで、数万人にのぼる。ユーザーのレベルは、コンピュータについてほとんど知らない人々から、Ken Thompson氏のようにUNIX OSの設計に貢献した人々まで、さまざまである。
2. 米航空宇宙局(NASA)
上空約250マイル(約400km)の軌道上には、文字通りこの世界を抜け出したLinuxユーザーたちがいる。
2013年、NASAは国際宇宙ステーション(ISS)のクルーが使用するノートPCを「Windows XP」と「Scientific Linux」から「Debian 6」に切り替えたことを発表した。
ISS上には多数のノートPCがある。クルーはノートPCを使って、ISSのコマンドコントロールコンピュータにアクセスし、GUIを使って、例えばヒーターシステムや電気系統など、ISSのさまざまなシステムの回路図をナビゲートできるため、そうしたコンピュータの役割は重要だ。
NASAの契約業者であるUnited Space AllianceのKeith Chuvala氏は、移行時に次のように述べている。「われわれが主要機能をWindowsからLinuxに移行させたのは、安定性と信頼性の高いOSを必要としていたからだ。つまり、組織内でコントロールできるOSである。パッチや調整、改良が必要であれば、われわれが行えるということだ」