美しい図だ。もっとも、それら1万8796種類のデバイス向けにアプリケーションのエクスペリエンスを最適化しなければならない開発者は、そうは感じないだろう。
セキュリティを確保する必要もある。TechRepublicのJack Wallen氏が指摘するように、人気が高まったことで、Androidは悪質ハッカーにとって魅力的な標的になってしまった。
「Androidは驚異的な速さで台頭したため、標的にされるだろう。だからといって、同OSをウイルスに感染したジャガイモのように捨てる必要はない。しかし、今後は、デスクトップやノートPCを使うときと同じように注意深く、そして用心深くモバイルデバイスを使用する必要がある。AndroidがLinuxを基盤に構築されているからといって、セキュリティが侵害されないわけではない。長期間、十分に注意せずに使っていたら、どんなOSでも安全性が低下する恐れがある」
セキュリティ問題が発生する可能性や、開発者の得る売り上げが低いこと(VisionMobileによると、Androidではアプリ1本当たりの月間売上高が平均100ドル~201ドルなのに対し、iOSのアプリ1本当たりの月間売上高は500ドル~1000ドル)を考えると、Androidは難しい選択肢のように思える。
選択の余地はあるのか?
もちろんある。開発者がiOSの支配するハイエンドスマートフォン市場だけに注力しているのでない限り、Androidは避けられない現実だ。フラグメンテーションの度合いがどれだけ大きくても無視できない現実である。Androidから利益を得ることは、市場の大部分を相手にする数の勝負だ。
もっと正確に言えば、それは特定の市場と結びついている。西洋市場向けにアプリを作成するアプリ開発者は、アジア太平洋地域の抗しがたいフラグメンテーションに苦慮する必要はない。また、アジア太平洋地域の開発者は、競争好きで創意工夫に富む集団であることが知られており、西洋よりもはるかに長い間、膨大な数のデバイスに対処してきた。
いずれ、その対処方法を編み出すことになるだろう。
それと同じくらい重要なのは、OpenSignalが強調しているように、フラグメンテーションは実際には機会を閉ざすのではなく、はるかに大きな機会をもたらすということだ。
「安価なAndroidスマートフォン(同OSの最新バージョンを搭載していることは稀)を提供することは、世界中でiOSよりはるかに多くのユーザーにリーチできることを意味する。したがって、アプリ開発者はより幅広いユーザーを対象にアプリを開発できる。Androidのフラグメンテーションの利点の1つは、デバイスメーカーの自由度が非常に高いことだ。つまり、消費者は自分のニーズに完全に合致する仕様のデバイスを入手することができる。このことは、Androidが発展途上国でNokiaの「Symbian」から主要OSの座を奪う上で特に有益だった。
Googleも事態の改善を目指している。デバイスのフラグメンテーションを越えて、GoogleはOEMに対し、「Google Mobile Services」(GMS)や「Google Apps」の配布権と引き換えに新バージョンのAndroidを搭載するよう働きかけることで、フラグメンテーションの軽減に努めてきた。またGoogleは、エンドユーザーが確実に最新かつ最高のAndroid体験を得られるように、OEMを回避して「Google Play」に直接つながる新しい開発者APIも発表している。
Androidのフラグメンテーションは、深刻ではあるが、Googleの取り組みと開発者の発明の才を考えると、今でも十分に対処可能な問題だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。