Appleは米国時間9月9日、大勢の人が詰めかけたイベントで、大型になった「iPhone」の新機種と新しいモバイル決済プラットフォームを発表したほか、「Apple Watch」の先行公開も行った。手首に装着してiPhoneの拡張デバイスとして機能する新しいスマートウォッチだ。
「デジタルクラウン」という新しいユーザーインターフェース(初代「iPod」のクリックホイールが進化したもの)を備えるApple Watchは、デジタル腕時計、個人用通信機器、ヘルスおよびフィットネスデバイスという3つの顔を持つ。Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏は、デジタルクラウンを初代「Macintosh」のマウスやiPhoneのマルチタッチに並ぶものと評価した。
提供:James Martin/CNET
BYODでエンタープライズに浸透
iPhoneはこの5年間でエンタープライズ分野に食い込んできたが、Apple Watchも2015年前半の一般発売後、同様の経過をたどると予想される。
「iOS」アプリ開発者はApple Watch向けのコンパニオンアプリを開発できるようになるため、多くの生産性アプリケーションが何らかの形で同デバイスに対応するだろう。
「Fantastical」の開発者であるMichael Simmons氏は自身の意見を筆者に語り、Apple Watchに関して最も素晴らしいのは「人々がインテリジェントなデバイスを常時携帯できること」だと述べた。Appleは自社の生産性アプリのApple Watchバージョンを披露している。これには、電子メール、メッセージ、カレンダー、通話、地図、道案内などがあるが、開発者はほかにもさまざまなことができる可能性がある。
「私が最も強い関心を抱いたのは間違いなくユーザーインターフェースだ。Appleは単にiOSの操作方法を流用したのではなく、新しいスクリーンとサイズについて徹底的に再考した」(Simmons氏)
「今までのウェアラブルが失敗してきたのはその点だと思う。基本的にスマートフォンやタブレットを『小型化』したものだったからだ。ウェアラブルについては一から考え直す必要があった。Appleは確実にそれをやってのけた」(Simmons氏)
セキュリティに敏感な企業の社員にとって幸運なことに、Apple Watchにカメラは搭載されておらず、レンズを覆うなどして撮影できないようにする必要はない(数カ月前にある大企業の本社を訪れたとき、筆者は携帯していたすべてのデバイスの5つのレンズを覆わなければならなかった)。また、コンパニオンデバイスのiPhoneからデータを取得するため、適切に設定しておけば、インターネット接続は企業VPNパススルーに対応するはずだ(ただし、これについてAppleの確認は取れていない)。
企業は、iPhoneや「iPad」向けの社内アプリを開発してきたように、Apple Watch向けの新しいアプリを求めるようになるだろう。筆者はApple Watchの実際の用途に無限の可能性があると見ている。それはカレンダーや電子メールといった明らかな用途だけではない。
現場の技術者がスタンドアロンアプリを活用して、予定通りに作業するのに役立てたり、次の現場への道案内を利用したりすることもできるだろう。医師や看護師向けのアプリを開発して、患者についての最新情報や通知を迅速に受け取ることもできるかもしれない。バイブレーション機能もあるため、ユーザーは重要な会議中でも、注意を払う必要があるイベントの通知を静かに受信することができる。
さらに、健康という巨大な要素もある。企業はApple Watchを利用して、社員に日中にもっと身体を動かして運動するよう促すかもしれない。模索すべき可能性は多く、開発者や企業がAppleの最新プラットフォームに関して何を計画しているのか、早く知りたいところだ。
Simmons氏とFantasticalはどうかというと、同氏はFantasticalのApple Watch版についての質問を受けてためらったが、同プラットフォームに対して「非常に大きな関心と好奇心を抱いている」と述べた。
提供:James Martin/CNET
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。