McAfee FOCUS USA 2014

サイバー攻撃の“ビジネス化”で複雑化するセキュリティ-インテル傘下のマカフィー

鈴木恭子

2014-11-05 07:00

 米McAfeeは10月27日から29日までの3日間、ネバダ州ラスベガスにおいてパートナー向け年次コンファレンス「McAfee FOCUS USA 2014」を開催している。今年で7回目となる同コンファレンスには世界67カ国から約2700人が参加し、日本からの参加者も80人に上る。協賛スポンサーは約30社、会期中は75本以上のブレークアウトセッションが予定されている。

米Intelでプレジデントを務めるRenee J.James氏
米Intelでプレジデントを務めるRenee J.James氏

 McAfeeは2011年に米Intelに買収され、McAfeeブランドは2014年1月に「Intel Security」ブランドとして一本化された。現在は段階的に、McAfeeの製品ラインとIntelのセキュリティ技術の統合が進んでいる。

 初日の基調講演には、米Intelでプレジデントを務めるRenee J.James氏と、米Intelのセキュリティ部門(Intel Security)でシニアバイスプレジデントおよびゼネラルマネージャを務めるChris Young氏が登壇し、現在のサイバー脅威の現状と動向を説明するとともに、今後の「Intel Security」の方向性について語った。

サイバー攻撃はビジネスに

 冒頭、James氏はグローバル規模でサイバー攻撃が増加している事実に触れ、「サイバー攻撃は犯罪者にとって“ビジネス”になっている。今後も攻撃手法は高度化し、そのターゲットも個人/法人を問わず拡大していくだろう」と指摘した。

 実際、金融機関を狙った大規模なサイバー攻撃は増加しており、その被害金額も年々莫大になっている。2013年の米国金融機関におけるサイバー攻撃の被害額は、平均2360万ドルに上った。

 こうした現状に対しJames氏は、「われわれは『ユビキタスなセキュリティレイヤー』を実現すべく、ハードウエアからクラウド、さらにモバイルなどのエンドポイントに至るまでを網羅的に保護していく」と強調した。

直面しているセキュリティの脅威。9分に1回セキュリティリスクの高いアプリが使用され、10分に1回マルウエアがダウンロードされ、49分に1回は企業からのデータ漏えいが発生しているという
直面しているセキュリティの脅威。9分に1回セキュリティリスクの高いアプリが使用され、10分に1回マルウエアがダウンロードされ、49分に1回は企業からのデータ漏えいが発生しているという

 また、同氏はIoT(Internet of Things)の普及に伴い、IoTに対する攻撃も考慮しなければならないと指摘。2018年までに180億のデバイスがインターネットに接続され、そのうち50%がいわゆるIoTに絡むものであるとの予測を紹介。その状況で「プラットフォームが果たす役割も変化しており、今までとは異なるアクティベーションが必要になる」との見解を示した。

 2011年にIntelがMcAfeeの買収を発表して以降、両社はハードウェアレベルでのセキュリティソリューションの提供に注力している。特にプラットフォームレベルでのセキュリティ機能の拡張については、McAfeeのソフトウエア資産をプラットフォームに組み込むことで、他のセキュリティベンダーと一線を画したい考えだ。

 James氏は今後の強化分野として、暗号化、クラウド、モバイルを挙げ「デジタル化されているものすべてを、マルウエアから保護していく。ソリューションに軸足を置き、エンドツーエンドのセキュリティを提供していく」と語った。

セキュリティ理解のポイントは「変化」「拡大」「複雑化」

米Intelのセキュリティ部門(Intel Security)で上級副社長およびゼネラルマネージャを務めるChris Young氏
米Intelのセキュリティ部門(Intel Security)で上級副社長およびゼネラルマネージャを務めるChris Young氏

 続いて登壇したYoung氏は「(セキュリティに明るくない)一般の人々にセキュリティの重要性を説くのは難しい」と、現状のセキュリティ部門が抱える課題を挙げ、参加者の共感をあおった。

 そうした人々にセキュリティを理解してもらうためのポイントは「IT環境の変化」「攻撃対象の拡大」「セキュリティ製品(機能)の複雑性と細分化」であるというのが、同氏の主張である。

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