ハンズフリーで倉庫仕分けが可能なアプリを発表--SAPが取り組むウェアラブルの世界

山田竜司 (編集部) 2014年11月06日 17時07分

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 SAPジャパンは11月6日、メガネ型のウェアラブル端末(スマートグラス)と拡張現実(AR)を組み合わせて利用するためのモバイルアプリケーションを発表した。倉庫などでの荷物の仕分け(ピッキング)作業の効率化を図るアプリケーション「SAP AR Warehouse Picker」と保守保全作業をサポートするアプリケーション「SAP AR Service Technician」の提供を開始する。ハンズフリーでの作業を可能にし、業務の単純化と効率化を支援する。

 AR Warehouse Pickerは、倉庫作業者向けにピッキング指示の受信や品物や位置が分かるバーコードを読み取ることができ、ピッキングの入力業務を簡素化する。

 デモストレーションでは社員証のQRコードをスマートグラスで読み取ってシステムにログインし、スマートグラス経由での仕分け指示や音声入力機能など、ハンズフリーでの仕分け作業が可能になる点をアピールした。

 保守や保全作業者向けのAR Service Technicianは、3D CADデータによる作業手順の参照や、音声メモの記録などが可能で、現場にいる作業員に指示を出すこともできる。


今回のSAPのアプリケーションはVuzix製スマートグラスで運用する

SAPのウェアラブル向けアプリ戦略


ソリューション&イノベーション統括本部 モビリティソリューション本部 シニアモビリティスペシャリスト 平垣達也氏

 こうしたウェアラブルデバイスを活用したアプリケーションをSAPで扱うのは初めてとなる。これについてソリューション&イノベーション統括本部 モビリティソリューション本部 シニアモビリティスペシャリストの平垣達也氏はビジネスの現場ではワークスタイルの変化以外でもスマートフォン利用などデバイスのコンシューマライゼーションの潮流があると指摘。スマートグラスがビジネスで利用される未来を予測した。

 SAPではすでに500以上のモバイル向けアプリケーションを展開しており、これらを腕時計型デバイスやスマートグラスなどでも使い勝手を優先させる形で展開したいと語った。

 「スマートグラスのためにアプリケーションをつくるのではなく、これまでのアプリを使いやすさを最優先にしてスマートグラスでも使えるようにしたい」(平垣氏)

 今回発表となった2つのアプリケーションは、両者ともスマートグラスで運用され、SAPがユーザー10社と開催したワークショップから出たアイデアを参考にしたという。

 スマートグラスなどメガネ型のウェアラブルデバイスが製品としても市場としても成熟していない今、ハンズフリー、修理手順などわからないことをエキスパートに聞く通話機能など、現在利用可能な技術を組み合わせて実現したアプリケーションであるとした。

 AR Warehouse Pickerでは倉庫管理ソフト「Extended Warehouse Management」のバージョン7.01以降の利用が前提であるほか、AR Service Technicianも既存のSAPユーザーを対象としている。スマートフォンとのBluetooth連動が基本となり、デバイス単体では利用できないなど制約がある。


IVEソリューション本部 テクノロジー&プラットフォームソリューション モビリティソリューションズ ディレクターの井口和弘氏

 スマートグラスの持続時間は3~4時間程度としている。筆者が装着してみたところ、長時間の利用を前提にするとやや重さを感じるといった印象を持った。IVEソリューション本部 テクノロジー&プラットフォームソリューション モビリティソリューションズ ディレクターの井口和弘氏はメガネ型デバイスの課題として電源の持続時間、画面の解像度、フロントカメラの視野角が狭いこと、メガネ型デバイス単体で1つ10万円程度という価格の高さなどを挙げた。

 アプリケーションはそれぞれAndroidで動作するため、「アプリケーション側は現時点でもかなりスムーズ。デバイスのスペックやOSの能力が現在のスマートフォンに追いついて来れば、より良いユーザー体験を提供できる」(井口氏)とした。


開発中のスマートウオッチ連動サービス。ERPと連動し、システムからのアラートにより振動するほか、決済の承認などが可能という

 スマートグラス以外には現在、腕時計型のデバイスとERPを連動させアラートが受け取れる機能を開発しており、将来的に市場に投入する計画があるという。

 1月から始まる2015年はSAPのERPユーザーに提案し、ウェアラブルデバイスとERPを連動させる実証実験を実施し、製品を洗練させる。2016年と見込んでいるスマートグラス市場の成熟化に併せて、既存ユーザー以外にも展開、20社への導入を目指している。小売りや医療、ファッションなどの領域に展開する予定であり、アプリケーションを業務に最適なデバイスで提供していくとした。

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