ノークリサーチは12月10日、中堅中小企業での“ワンストップサービス”の活用状況などに関する調査の結果を発表した。ここでのワンストップサービスとは、「業務アプリケーションの導入や保守だけでなく、ネットワーク関連、オフィス家具や用品など多種多様なビジネス商材を一括して提供するサービス」と定義している。
ITの管理や運用を担う役割に対して十分な人材を割くことが難しい中堅中小企業では、こうしたワンストップサービスはIT管理運用の負担を軽減する手段として有望な選択肢の一つとなってくる。同社は調査結果について「広い視点に立った導入効果のアピールと適材適所でのアプローチが有効」としている。
(ノークリサーチ提供)
今回の調査で、ワンストップサービスのうち代表的なものとして、「たよれーる」(大塚商会)、「オフィスまるごとサポート」(NTT東日本)、「オフィスネットおまかせサポートサービス」(NTT西日本)、「KDDI まとめてオフィス」(KDDI)、「かんたんオフィス」(ソフトバンクテレコム)の具体名を挙げて、認知と活用状況を質問した結果、平均して6割以上が「全く知らない」と回答した。認知度が高まることでワンストップサービスの利用率は今後も十分伸びる余地があるといえる。
(ノークリサーチ提供)
中堅中小企業がワンストップサービスのメリットと感じている点を探った質問のうち、「保守/サポートの窓口を一元化できる」「支払時の経理処理負担を軽減できる」の2項目についての回答をまとめたのが上のグラフ。いずれも「既に利用中」または「利用予定がある」というユーザー企業と「知っているが利用予定はない」というユーザー企業の間でメリット認識の差が大きい。
ワンストップサービスの名前だけを知っているが中身を理解していないユーザー企業に対しては、ITの管理や運用のメリットに加え、経理処理などのバックエンド業務にもたらす効果もアピールしていくことが有効と考えられる。
(ノークリサーチ提供)
一方、ユーザー企業が感じる課題や弊害についての質問で「本当は割高になっていないか不安」「自社に合わせた個別対応が難しい」の2項目については「既に利用中」のユーザー企業とそれ以外の企業で回答が分かれた。
ワンストップサービスを利用中の企業にとっては、個々のIT製品やサービスの価格を気にしなくても良い点が大きなメリットとなるはずだが、それでも多くのユーザー企業が不安を抱いている。ただし、ノークリサーチでは、この項目について「課題や弊害というよりはユーザー企業が持つべき姿勢に起因するものと言える。不安を感じるのであれば、サービス提供者側に価格の妥当性を尋ねてみるなどといった最低限の努力はユーザー企業側に求められてくるといえる」としている。
ワンストップサービスでは複数のIT製品やサービスをメニュー化することで提供コストを抑えているケースが少なくない。しかし実際に利用しているユーザー企業では利用予定としている企業より減っており、業務要件の都合で個別対応が必要な部分と、ワンストップサービスで充分な部分とサービスを使い分けるなどの対応が少なからず行われていると推測される。
調査は、年商500億円未満の日本全国民間企業1000社の経営層や管理職、社員を対象として10月に実施された。今回の発表は、レポート「2014年版 中堅・中小企業におけるワンストップサービス/マーケットプレイス活用の認知/課題に関する調査レポート」のダイジェストになる。