持続可能なコンテンツマーケティング戦略を実現する3つのステップ

Loni Stark(Adobe) 2014年12月30日 11時15分

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 最近では、ブランドからサイト訪問者に働きかける純粋な意味でのコンテンツマーケティングでは、長期的な持続性は望めないことが明らかとなっています。オンラインコンテンツが1年間で爆発的な増加を遂げることで、一般消費者にとっては供給過多となる可能性があります。

 それだけでなく、注目を得るためのあらゆる競争の中で、企業の間では、懸命に努力し、より多くの時間を費やし、既存のオーディエンスを維持し続けることや、自社の訪問者数ランキングをアップすることの必要性が認識されています。さらに、Mark Schaefer氏の「Economics of Content(コンテンツの経済性)」モデルで明らかになった通り、人々の注目を集める記事や動画、ポッドキャストなどの素材制作時の費用対効果は、マーケターが納得するものでは決してないのが現状です。

 投資効果(ROI)に着目した場合、コンテンツマーケティング戦略では、ソーシャルエンゲージメント(社会関与性、コミニュニティとの関わり)とソーシャルキャピタルの構築が不可欠です。ソーシャルキャピタルとは、他のメンバーが恩恵を感じられる形で、コミュニティがコンテンツを提供する際に発生するものであり、こうしたプロセスを通じ、ブランドのエンゲージメントは向上します。

 大半のデジタルマーケターは、洗練された魅力的なコンテンツの作り方を既に知っています。彼らに欠けているのは、人々が互いに信頼し合い、助け合い、協力してブランドに還元するコミュニティ(=ソーシャルキャピタル)を成長させるための、根本的な働きかけです。

 今後、コンテンツマーケターとしてのわれわれの一義的目標は、消費者のマインドシェアとロイヤリティの向上に貢献するべく、各ブランドに関連するテーマで、有意義な会話を彼らの中に仕掛けてゆくことです。彼ら自身の手によって作られ、共有されるコンテンツが増すことで、コンテンツのマーケティング戦略も、より持続可能なものとなります。

 本稿では、ブランドエンゲージメントと持続可能性を高めるために取るべき3つのステップを紹介します。

第1のステップ:競争力があり、本質的な社会理念を自社向けに確立する

 従来型のコンテンツマーケティング v.s. 社会理念主導戦略:従来型のコンテンツマーケティング戦略は、特定の購入者のペルソナをターゲットとしており、問題やニーズに対応するコンテンツを用意しています。一例を挙げると、ある金融機関は、退職後の余生を心配する中年層のメンバーをターゲットにしています。

 こうしたペルソナには、「子どもの教育費はどうしよう、負債を減らすには? 投資運用で余生を上手に過ごすには?」といった悩みがあるはずです。

 従来型のコンテンツ戦略では、商品のパンフレットと連動した形で、有益なアドバイスを提供することで、退職プランに関するアドバイスの信頼できる情報源となることを重視しています。こうした戦略の問題としては、他の全ての金融機関も似たり寄ったりのコンテンツを推すために、競争から抜け出せないという点があります。

 競争から抜け出し、優位性を維持するには、顧客のコミュニティを刺激し、理念に協調してもらう必要があります。

 従来型のコンテンツマーケティングの理念は、「退職プランや流行の退職形式について有益な助言を提供する、信頼できる情報源になること」です

 本質的なソーシャルコンテンツ戦略における理念とは、「ご一緒に退職後の貯金と人生設計について考えましょう」ということです。「Capital One 360」が、まさにこうした実例です。

 この金融サービス企業が目指しているのは、一般消費者の時間とお金を節約することです。貯金や投資の方法について、一方向の会話を作り出すのではなく、同社では、複数のソーシャルネットワークを通じ、蓄財者のコミュニティを構築しています。

 こうしたコミュニティでは、貯金に関するアイデアをメンバーが互いに共有しており、さまざまな会話を通じた活気にあふれています。「We the Savers(我ら蓄財者)」と呼ばれる仮想タウンホールでは、人々がつい参加したくなるような課題や、思慮に富んだ質問が投稿されています。

ヒント:クラウドファンディングからの教訓


 インターネットで資金を調達するクラウドファンディングには、社会理念の活用方法に関して重要な視点が存在しています。米国のクラウドファンディング企業、Kickstarterで最も成功を収めているキャンペーンとは、「集団的行動開始」として機能しているものです。

 例えば、Barley & Britches(B&B)は、以下のミッションステートメント(理念表明)を掲げることで、資金調達目標を突破しました。

 「製造コストの何倍もの値段で店頭に並ぶ衣料へのいら立ちと支払の拒否を原動力とすることで、私たちは、こうした状況に対し、何か行動を起こそうと決めたのです」

 同社のコンテンツでは、主力商品のチノパンについては語られていませんでした。そこでは、私たちがみな関わりのある、ある種のいら立ちが語られており、一般消費者には、これに立ち向かう機会が与えられたのです。

 研究者は、クラウドファンディングで最も成功した表現とは、包括的で、社会的アイデンティティに踏み込んだものであると気付きました。共存関係、社会的証明、帰属意識、他者からの社会的シグナル(Facebookのいいね!など)はすべて、プロジェクトの資金調達の成功を示唆する強力な要因です。

 自社の商品やサービスについては、より大きな理念を推し進めるための実現要因として位置付けてください。これにより、あなたの専門分野、すなわち売りたい商品の話題から離れ、コミュニティへの貢献が可能な包括的なコンテンツマーケティング戦略が可能になります。

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