Mozillaは、同社ブラウザの最新バージョン「Firefox 35.0」をリリースした。モバイル端末向けの同バージョンでは、ジオロケーションサービスの向上、および状況把握型アプリのサポートを目的とした、Wi-Fiと携帯網のシグナル情報の共有が可能になっている。
またこの新バージョンでは、暗号化接続時の認証機能を拡張するためのHTTP公開鍵のピンニング拡張(Public Key Pinning Extension for HTTP)も実装されている。
MozillaがFirefoxに追加したHTML5関連のサポート機能のなかには、CSS Font Loading APIに対するサポートや、Resource Timing APIの実装、CSSフィルタのデフォルトでの有効化が含まれている。
バージョン35.0のデスクトップ版では、「OS X」上でタイルレンダリングが実装され、「Mac OS X 10.6 Snow Leopard」以降のバージョンに対するネイティブAPIを通じたH264(MP4)の組み込みサポートが提供され、ビデオチャット機能「Firefox Hello」にチャットルームをベースにした会話モデルが新たに導入されている。
この最新バージョンでは、画像をリサイズする際におけるリソース使用量の削減や、PDF.jsのバージョン1.0.907への更新、セキュリティ関連のいくつかの問題解決もなされている。
こういった問題には、Gecko Media Pluginのサンドボックスの回避(MFSA 2015-07)や、プロキシ認証レスポンスを通じたCookie注入(MFSA 2015-04)、ビットマップ描画中の未初期化メモリ使用(MFSA 2015-02)、「さまざまな」メモリ安全性の問題に対する修正(MFSA 2015-01)も含まれている。
開発者に関係する変更としては、Firefox 35.0における::beforeと::afterの疑似要素の調査に対するサポートや、WebGLのEXT_blend_minmax拡張に対するサポートが含まれている。
またモバイル版ブラウザでは、ネットワークエラーページに対する検索用ダイアログボックスの追加や、Android Downloadマネージャを使用したダウンロードファイルの管理が可能になるとともに、上向きスワイプで表示される検索画面や、検索ウィジェットからの検索アクティビティを利用した検索機能(一部の端末のみ)も追加されている。
さらにジオロケーション機能の向上に加えて、モバイル版では「Bing」の使用時にHTTPSを使ったセキュアな検索が行われるようになっている。
2014年、Mozillaは10年来続いていたGoogleとの提携関係を終了し、その年の11月に米Yahooと5年間の提携を結んだ。Yahooは2010年からBingを検索エンジンとして採用しているため、2014年11月以来Mozillaにおけるデフォルトのオンライン検索メカニズムはMicrosoftのBingとなっている。
この新たな契約により、Firefoxのデフォルトの検索ポータルはBingを採用しているYahooとなったため、米国におけるGoogleのデスクトップシェアを少し奪うことになったようだ。なお、Googleはそれまでの提携でMozillaに対して年間3億ドルを支払っていた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。