VOYAGE GROUPは2月9日、アドテクノロジ市場における新たな取り組みとして、トレーディングデスク事業を展開するエスワンオーインタラクティブ(s1o-i)と合弁で、プライベートマーケットプレイス(PMP)を運営する新会社、intelishを設立したと発表した。
新会社の資本金は4000万円で、出資比率はVOYAGE GROUPが51%、s1o-iが49%。春ごろにPMPのテスト稼働を行う予定。
PMPの概要(VOYAGE GROUP提供)
従来のオープン制オークション取引(広告主も媒体社も匿名で行うオークション取引)によるRTB(Real Time Bidding:広告1表示ごとに、リアルタイムのオークション方式で広告表示する方式、広告主や広告会社から入札された広告の中から最も単価の高い広告が配信される)では、「枠から人へ」という言葉の通り、枠(メディア)の質や情報でなく、オーディエンスの情報に重きを置いた広告取引となっていたという。
広告主にとっては、オーディエンス単位で買い付けが可能で、かつリアルタイムに配信をコントロールできるというメリットがある一方、配信先のメディアを事前に選別できず、配信面を重視するブランディングを目的とした広告出稿では、オープン制オークション取引によるRTB取引が適さない場合もあった。
また、媒体社にとっても、不適切な広告の掲載によってメディアのブランドを毀損したり、掲載面の価値を評価されないことによるメディア価値の下落が懸念されていた。
そこで、SSP(Supply Side Platform、メディアの広告収益を最大化させる仕組み)である「Fluct」を中心に6000以上のメディアの収益化を行ってきたVOYAGEと、トレーディングデスクとして多くのDSP(Demand Side Platform、広告主のROIを最大化する仕組み)の運用実績があるs1o-iは、ノウハウを組み合わせて事業を展開するために新会社の設立に合意した。
intelishでは、Fluctを導入している媒体社をはじめ、付加価値の高い広告枠を中心としたPMPを構築し、限られた広告主がRTB形式で広告を出稿できる仕組みを提供する。
これにより、広告主や媒体社が広告掲載位置や価格について事前に取り決めを実施するため、広告主は広告を掲載するメディアや位置を選んだ上で、プレミアムな広告枠に対してRTBなどのプログラマティック(オーディエンスデータを活用し、プラットフォームを介した広告の自動取引)な形式で取引ができるようになる。
また、媒体社にとっても、プレミアムな広告枠を限られた広告主に提供することにより、メディアのブランドを毀損することなく、広告枠の新たな取引手段を活用できる。