ポイントサイト「ECナビ」などを運営するVOYAGE GROUPは7月2日、東証マザーズに上場した。上場初日となった7月2日の株価は公募価格2400円に対し、初値が3360円、その後3500円まで上昇し、3285円で取引を終えた。
2013年10月1日から9月30日までの2014年9月期の連結業績予想は、売上高が前年同月比42%増の140億円、営業利益は同1.8倍の15億円、純利益は同1.84倍の9億円と、好調ぶりを強調した。
VOYAGEは1999年に創業し、240人の社員がいる。現在、ECナビなどの「メディア事業」、媒体社向け広告プラットフォームであるSSP(Supply Side Platform)「Fluct」などを展開する「アドテクノロジ事業」のほか、オンラインの調査パネル事業などを展開している。
今回の上場で11億円の資金を調達した。代表取締役兼最高経営責任者(CEO)の宇佐美進典氏は、調達金の用途について、6割は既存のメディア事業の会員増加にむけたプロモーションに使い、2割はサーバなどの設備投資、残りの2割は人材採用や社員向け施策の強化などに充てるとした。
宇佐美氏は今後の戦略について「成長市場である運用型広告のRTB(リアルタイム入札)市場を含むアドテクノロジ事業でシェアを拡大し、成長を加速させたい」と話した。現在、メディア事業とアドテクノロジ事業の売り上げ構成比は同程度だが、アドテクノロジ事業により大きな成長性があると見ているという。
RTB市場でのSSP提供シェアはすでに3割以上あり、シェアトップを自負するという宇佐美氏は、さらなる拡大に自信をのぞかせた。
広告単価が低いと言われることのあるRTBだが、「市場の成長とともに単価は上がると予測している」とのこと。入札履歴情報などいわゆるビッグデータを活用し、より精度の高いマッチングを実現すれば、広告効果が高まるとの見通しが背景にある。
一方、SSPは競合他社も多い。宇佐美氏は自社のSSPの強みとして顧客メディアの収益化をサポートする専任コンサルタントの存在を挙げた。
「もともと自社でメディアを運営してきたからこそ勘所がわかるコンサルタントがおり、SSPだけでなく顧客となるメディアの収益化につながるコンサルティングができるのが強み」(宇佐美氏)
さらに、SSPのテクノロジ面でもより詳細なマッチングを可能にするアルゴリズムの開発にも取り組む予定だ。現在、エンジニアの比率は全社員の3分の1強で、さらにシステム部門を強化する。データ分析に専門性を持つ社員を2013年比で1.5倍に増やし、今後も増やすとしている。
7月2日に東証マザーズに上場したVOYAGE GROUP。午前にはセレモニーが開催された。