ビッグデータを活用してインターネット広告の効果を上げる--VOYAGE GROUPがマザーズ上場

山田竜司 (編集部)

2014-07-03 08:08

 ポイントサイト「ECナビ」などを運営するVOYAGE GROUPは7月2日、東証マザーズに上場した。上場初日となった7月2日の株価は公募価格2400円に対し、初値が3360円、その後3500円まで上昇し、3285円で取引を終えた。

 2013年10月1日から9月30日までの2014年9月期の連結業績予想は、売上高が前年同月比42%増の140億円、営業利益は同1.8倍の15億円、純利益は同1.84倍の9億円と、好調ぶりを強調した。

 VOYAGEは1999年に創業し、240人の社員がいる。現在、ECナビなどの「メディア事業」、媒体社向け広告プラットフォームであるSSP(Supply Side Platform)「Fluct」などを展開する「アドテクノロジ事業」のほか、オンラインの調査パネル事業などを展開している。

 今回の上場で11億円の資金を調達した。代表取締役兼最高経営責任者(CEO)の宇佐美進典氏は、調達金の用途について、6割は既存のメディア事業の会員増加にむけたプロモーションに使い、2割はサーバなどの設備投資、残りの2割は人材採用や社員向け施策の強化などに充てるとした。

 宇佐美氏は今後の戦略について「成長市場である運用型広告のRTB(リアルタイム入札)市場を含むアドテクノロジ事業でシェアを拡大し、成長を加速させたい」と話した。現在、メディア事業とアドテクノロジ事業の売り上げ構成比は同程度だが、アドテクノロジ事業により大きな成長性があると見ているという。

 RTB市場でのSSP提供シェアはすでに3割以上あり、シェアトップを自負するという宇佐美氏は、さらなる拡大に自信をのぞかせた。

 広告単価が低いと言われることのあるRTBだが、「市場の成長とともに単価は上がると予測している」とのこと。入札履歴情報などいわゆるビッグデータを活用し、より精度の高いマッチングを実現すれば、広告効果が高まるとの見通しが背景にある。

 一方、SSPは競合他社も多い。宇佐美氏は自社のSSPの強みとして顧客メディアの収益化をサポートする専任コンサルタントの存在を挙げた。

 「もともと自社でメディアを運営してきたからこそ勘所がわかるコンサルタントがおり、SSPだけでなく顧客となるメディアの収益化につながるコンサルティングができるのが強み」(宇佐美氏)

 さらに、SSPのテクノロジ面でもより詳細なマッチングを可能にするアルゴリズムの開発にも取り組む予定だ。現在、エンジニアの比率は全社員の3分の1強で、さらにシステム部門を強化する。データ分析に専門性を持つ社員を2013年比で1.5倍に増やし、今後も増やすとしている。


7月2日に東証マザーズに上場したVOYAGE GROUP。午前にはセレモニーが開催された。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]