モノのインターネット(IoT)に関する話題に、ビッグデータの話はつきものだ。ネットワークに接続されたデバイスやセンサ、アルゴリズムを活用しようとすれば、大量のデータを扱う必要が出てくる。
Forrester ResearchのアナリストBrian Hopkins氏は、「モノのインターネットが成功するか失敗するかは、ビッグデータ分析にかかっている」と述べている。
IoTへの取り組みを始める時には、IoTとビッグデータの関係についてよく理解しておく必要がある。IoTの導入で成果を上げようとするなら、何らかの有用なツールやサービスを提供する必要があるのはもちろんだが、同時に関連するデータを収集する必要がある。
ビッグデータに関する取り組みは、単にデータを集めるだけでは意味がない。そのデータを処理して分析して知見を引き出し、その知見から事業を改善するための具体的なアクションを生み出さなくてはならない。
この記事では、IoTとビッグデータが相乗効果を生み、優れた分析結果と知見を生み出した10の事例を紹介する。
1.世界最大級の輸送業者UPS
UPSは、センサから得られたデータとビッグデータ分析を、経費削減、効率改善、環境負荷の軽減などに役立てている。UPSは配送車に取り付けたセンサーで、速度、燃費、走行距離、停止回数、エンジンの状態などを監視している。
UPSが公表したパンフレットによれば、同社は毎日8万台以上の保有車両で2、センサーから200以上のデータポイントの情報を収集している。同社はこの情報を活用して、アイドリング時間や、燃料消費、有害物質放出量を削減している。
UPSはまた、同社のORION(On-Road Integrated Optimization and Navigation)プロジェクトでもビッグデータを使用している。このツールは、数億カ所の住所データ要素に加え、配送中に収集されたその他のデータを利用して、配送経路を最適化している。UPSは2017年までに北米のすべての経路に対してORIONを適用する計画だ。
2.バルセロナ市(スペイン)
バルセロナでも技術的なイノベーションが起こっている。同市は毎年テクノロジショーであるMobile World Congressをホストしているが、同市自体もイノベーションの中心になりつつある。
バルセロナでは市内全域をカバーするWi-Fiで接続されたスマートパーキングメーターを使用しており、住民に駐車可能な地点の情報をリアルタイムで提供するとともに、スマートフォンで駐車料金を支払えるようにしている。また、スマートバス停では、タッチパネルでリアルタイム情報が得られるほか、市内全域をカバーするセンサーネットワーク得られた気温、大気質、騒音レベル、通行人の通行状況などに関する情報なども、労働者や住民に提供している。
これらを管理するため、バルセロナは「Microsoft Azure」を使用してビッグデータシステムを構築し、同市が収集している無数のデータ要素の処理や分析を行っている。同市はこのシステムによって得られた知見を、公共交通サービスの改善、メルセ祭りを始めとするイベントの計画、ツーリズムによる影響の把握などに活用している。