過去2年で、Facebookは「F8」カンファレンスの焦点を消費者から開発者へと移してきた。サンフランシスコのフォートメイソンセンターで開催された2015年のF8では、ブランドや企業にとって興味深い進展や議論がいくつかあった。この記事ではそのトップ5を紹介する。
提供:Facebook
1. Businesses on Messenger
基調講演で大きな発表だったものの1つが、「Businesses on Messenger」プラットフォームだ。Facebookは、オンライン購入プロセス(領収証、確認の電子メール、出荷通知、カスタマーサービス関係)を、「Facebook Messenger」の受信ボックスに移行させることで、人々と企業のやり取りの仕方を変えようとしている。これと合わせてMessenger経由の決済を導入することで、Facebookは、ユーザーの生活にまた新たな仕掛けを組み込み、ソーシャル、ビジネス、ブランドという経験を一体化させようとしている。つまり、そのように一体化させるアイデアをユーザーが受け入れれば、そして企業がそれを自社のソーシャル計画だけでなく、カスタマーサービスの構造にうまく組み込むことができれば、このプラットフォームは消費者と企業のやり取りの仕方を変えることができるだろう。そして忘れてはならないのが、スパムが好きな人はいないということだ。
2. ニュースフィードの仕組み
F8の1日目のセッションで、FacebookのAdam Mosseri氏とLars Backstrom氏は、投稿がユーザーのニュースフィードに表示される仕組みを詳しく説明した。投稿には、コンテンツの種類、投稿に対する行動、投稿者との関係に基づいて、スコアが割り当てられる。従って、2人のユーザーの友達リストが全く同じでも、ニュースフィードは異なるかもしれない。Facebookはさらに、請負業者と契約してニュースフィードに表示されるアイテムを評価させており、それがスコアリングシステムと比較される。過去の行動が新しいコンテンツの表示状況に影響するので、Facebookは、長期的な影響の面から、クリックベイト(興味深いタイトルを付けてユーザーを誘導すること)の見出しを使ったりしないようアドバイスしている。さらに、Facebookはあまりにも広告的な投稿やデマの投稿の表示を減らすように手を打っている。
3. 仮想現実
Facebookの大きな目標の中で、具体的にどの部分に仮想現実が組み入れられるのか、人々は疑問に思ってきた。しかし、F8でFacebookの最高技術責任者(CTO)のMike Schroepfer氏が、仮想現実についてFacebookの10年計画にうまく組み入れられていると語り、3つの重要な点の1つとして没入感を挙げた。「すばらしい瞬間」を生み出して人々をそうした「瞬間」に引き込むという考えは、基本的な形としては、マーケティング担当者や広告主の側で長い間行われてきている。またF8の1日目には、Facebookの創設者で最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏が球体動画を紹介した。これはより没入感の高い形の動画で、ニュースフィードでサポートされる予定だ。Facebookはまた、投稿の種類がテキストから写真や動画、さらに仮想現実へと進化することについても話した。
4. オープンソースデータセンター
Facebookの「Open Compute Project」は開始から4年が経過したが、今後もFacebookの長期的目標の1つとして残る。Facebookは基本的に、サーバやデータセンターなどの設計を公開している。これらをFacebookは「基礎的なテクノロジ」と呼んでおり、独自の方法を取ることで、この1年で約20億ドルを節約したとしている。Adobe SocialのCarmen Sutter氏は、これによって、このオープンソースハードウェアを利用したスタートアップや才能が生まれる流れができ、Facebookがそれを利用できる可能性があると述べている。
5. 人工知能
2日目の基調講演で、Schroepfer氏はFacebookの人工知能研究、特に「Memory Networks」と呼ばれるものについて話した。Memory Networksは基本的に質疑応答に対応するものだが、簡単な質問だけではない。Memory Networksのデモでは、「ロード・オブ・ザ・リング」のあらすじを処理して、「指輪は滅びの山の前にはどこにあったか」というような質問に答えることができた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。