Facebookは米国時間3月25日に開幕した開発者向けカンファレンス「F8 Facebook Developer Conference」で、6億5000万人のユーザーを擁する「Facebook Messenger」をビジネス向けのコミュニケーションプラットフォームとして展開する構想を発表した。ビジネス向けの「Businesses on Messenger」でEコマース市場における戦略を強化し、この市場を独占しているGoogleに挑む。
最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏は、Facebook Messengerをビジネス向けのコミュニケーションプラットフォームとして展開することで、企業のクリエイティブなコミュニケーション環境の構築を支援するとしたうえで、企業はBusinesses on Messengerを活用すれば、顧客との対話を適切なタイミングで開始し、対話をより自然な形で進められるようになると述べた。
Messengerのアプローチ
Facebookはビジネス向けMessengerのライブチャット機能を提供するためにZendeskと提携するほか、小売業のEverlaneおよびZulilyとも提携する。最終的な目的は、Businesses on MessengerでGoogleのビジネス向け「ハングアウト」や「Click-to-Call」のようなサービスを提供することにあると思われる。また、Amazonの「Mayday」ボタンやSalesforce.comの「SOS」ボタンのような顧客サポート機能の提供を目指している可能性もある。
Eコマースを支援するコミュニケーションプラットフォームとしてMessengerを適切に展開できれば、Facebookは地域に密着した店舗や中小企業の市場にも食い込むことができるだろう。たとえば、顧客が店舗に商品やサービスを注文すると、Messengerで回答が届くという形である。
Businesses on MessengerによるFacebookの収益モデルは現時点では明らかになっていないが、Googleの独占状態だった市場にFacebookという新たな選択肢が加わるのは、サービスを利用する側にとって歓迎すべき変化だ。しかし、この種のビジネス向けコミュニケーションプラットフォームの構想が常に成功するとは限らない。その好例はeBayによるSkype買収だ。eBayは出品者と入札者のコミュニケーションプラットフォームを構築する目的でSkypeを買収したが、最終的にはSkypeを放出した経緯がある。Skypeはその後、Microsoftに買収された。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。