インテルは4月2日、第5世代「Core vPro」プロセッサファミリーを発表した。米国では1月下旬に発表している。
企業用途向けに設計した新たなクラムシェル型PCとウルトラブック、2イン1では、性能やバッテリ駆動時間、生産性向上によるメリットを提供。「インテル Proワイヤレス・ディスプレイ(Pro WiDi)」と「インテル ワイヤレス・ドッキング」の組み合わせでオフィスの有線ケーブルを削減するといった提案を行う。Pro WiDi対応製品をインテルの会議室に導入し、先進的な仕事術を実践するという。
vProを搭載したデバイス。vProは累計1億個が出荷されているという
ワークスタイルを変えるCore vPro
インテル代表取締役社長の江田麻季子氏は「インテルは今から12年前の2003年にCentrinoを発表し、パートナーとの協業でワイヤレスを新たな当たり前の世界へと変えた。2006年9月には数多くのCIO(最高方法責任者)の声を聞き、vProテクノロジを発表。高い性能だけでなく、PCの運用管理やセキュリティの課題解決にも取り組み、IT管理者から高い評価を得ている」とこれまでを振り返った。
インテル 代表取締役社長 江田麻季子氏
Intel PCクライアントグループ ビジネスクライアントプラットフォーム部門 ゼネラルマネージャー バイスプレジデント Tom Garrison氏
「vProの進化は、リモート管理からセキュリティへ、導入や管理の自動化、そして、さまざまなフォームファクターの製品へと広がりをみせ、昨今ではPOS(販売時点情報管理システム)やデジタルサイネージなどにも広がっている。成長するIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の領域にも広がろうとしている。今日発表するのは、ワークスタイルの変革のための新たな提案。Core vProをベースにした個別の技術が重なり合うことで、ワークスタイルを大きく変えられる」(江田氏)
vProは、これまでの9年間で1億個の導入実績があるという。
IntelのPCクライアントグループでビジネスクライアントプラットフォーム部門のゼネラルマネージャーでバイスプレジデントのTom Garrison氏は、「クライアントPCの買い換えサイクルは約4年。そこには1億7000万台のPCがあり、大きなチャンスがある。第5世代Core vProで4年前のノートPCに比べて、3倍のバッテリ駆動時間、2.5倍の高性能化のほか、起動時間は8倍も高速化し、50%軽量なノートPCが投入できるようになる」と説明した。
Core vProは13億個のトランジスタを搭載。「インテル Tri-Band Wireless-AC 17625」「インテル ワイヤレス・ギガビット・シンクM」「インテル SSD Pro 2500」シリーズも新たなvProプラットフォームを構成するものになる。
ワイヤレス・ドッキング
パナソニックのPro WiDi機能内蔵プロジェクタ
「エンタープライズクラスのワイヤレスディスプレイの環境を提供する」(Garrison氏)として、Pro WiDiを発表。PCとディスプレイのケーブル配線の煩わしさを解消するとともに、近接する会議室で利用した場合にも無線通信を制御し、プライバシーを保護。ネットワークの混在によるリスクとセキュリティ上の脆弱性を軽減できる無線チャネル機能などを搭載しているという。
「従業員の成績や給与などの機密情報が隣の会議室のスクリーンに映し出されると大きな問題が発生する。Pro WiDiでは、プライバシースクリーン機能で正しいスクリーンに接続していることを確認するといった運用管理にも優れている」(Garrison氏)
DellやLenovoなどからは、Pro WiDiアダプタが提供され、これを通じたスクリーンに投影できるという。パナソニックは同社製プロジェクタにPro WiDi機能を内蔵することも発表した。
パナソニック AVCネットワーク社 常務ビジネスモバイル事業担当 ITプロダクツ事業部長 原田秀昭氏
パナソニック AVCネットワーク社 常務ビジネスモバイル事業担当 ITプロダクツ事業部長の原田秀昭氏は「パナソニックのWindows搭載PCのすべてにvProを搭載している。これにより、IT部門が持つ課題や管理性といった問題を技術的に解決できる。今回、新たにプロジェクタにPro WiDiを搭載して発売する。これによって、ケーブルがないビジネスモバイルの新たなフェーズを作りたい。これからのイノベーションに期待してほしい」と期待を寄せた。
「インテル ワイヤレス・ギガビットテクノロジ」をベースに開発したワイヤレス・ドッキングも発表された。「オフィスの中にドックを設置しておくと、エンドユーザーがデスクに近づくだけで、自動的にクライアント端末が周辺機器に接続され、すぐに業務が開始できる。オープンスペースでもすぐに仕事ができ、1台のドックで複数の異なるベンダーのPCでも接続することができる。コストが劇的に下がり、従業員の生産性も高まる」(Garrison氏)
Garrison氏は「団塊ジュニアが社員の75%を占める時代がやってくるが、それらの世代ではFortune 500で働きたいと思っている人は、わずか7%に過ぎない。それを捉えても、企業はオフィスを変え、生産性を高めなくてはならないことがわかる。アイデアを共有できる職場環境が必要である」と解説した。
「現在、70%の企業がなんらかの形でオフィスの変革に取り組んでいる。従業員同士の意思疎通を改善し、どこでも仕事をする環境を実現し、より進んだ生産性とコラボレーションを実現することで仕事術を進化させなくてはならない。ひとつひとつの技術の進化は小さいが、新たなプラットフォームで仕事の仕方は大きく変わる」(Garrison氏)
Hewlett-Packardは、会議を開始するための準備に約5分かかり、それが30万人の従業員において失われた時間となり、新たなvProプラットフォームを使用することで年間5億ドルものコストを削減できると試算したという。