スマートメーターやスマートサーモスタットなど、インターネットに接続された膨大な数のデバイスが、脆弱な暗号化技術を採用しているためにサイバー攻撃を受けるリスクがあるとする研究論文が発表された。
この研究論文は、Philipp Jovanovic氏とSamuel Neves氏が4月末に発表したもので、「Open Smart Grid Protocol」(OSGP)が採用する暗号化技術を分析している。OSGPは、欧州の電気通信業界の標準化団体が公開している仕様群で、400万台を超えるデバイスで使用されており、現在最も普及しているスマートデバイス用プロトコルの1つとされる。
しかし、研究チームによると、その「脆弱な暗号化技術」は、比較的単純な一連の攻撃を仕掛けるだけで容易に解読できるという。あるケースでは、デバイスの暗号を「完璧に」破ることができたと研究チームは述べている。
最も一般的で信頼性の高い暗号化標準は、定評があり、同業者による審査を経ていて、なおかつオープンソースで検証しやすい暗号化技術を採用している。これは暗号化手法の「第一原則」だとさえ言われている。すなわち今回のスマートグリッドデバイスの問題は、コミュニティによる審査をパスできていない点にあるわけだ。
なお、OSGPプロトコルを策定している非営利組織のOSGP Allianceは現地時間4月8日、この仕様群に新たなセキュリティ機能を追加するための更新作業を準備中だと発表している。
「今回のセキュリティ更新の取り組みは、サイバーセキュリティにおける最新の国際的な推奨慣行に触発されたもので、暗号化と認証に使われるプリミティブの拡張と、鍵長、利用方法、更新ルール、およびメカニズムの強化を図る」とOSGP Allianceは発表声明で述べている。
この件についてOSGP Allianceにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
提供:CNET
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。