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デジタル教科書

供給体制や定価など課題は山積--文科省で「デジタル教科書」検討会が始動

羽野三千世 (編集部)

2015-05-22 19:00

 文部科学省は、「デジタル教科書」の位置づけを検討する有識者会議を発足し、5月12日に初会合を開催した。デジタル教科書の教育効果と、それを踏まえた制度的な位置づけや費用負担の在り方などについて、2016年12月31日まで教育 研究者、学校関係者、民間企業のICT教育関係者ら17人の委員による専門的な検討を行うとしている。


文部科学省で開催された「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議(第1回)の様子

民間から日本MS、ベネッセ、光村図書など

 委員の顔ぶれは、ITベンダーを代表して日本マイクロソフト パブリックセクター統括本部 業務執行役員 文教本部長の中川哲氏、デジタル教科書を制作する出版社代表として光村図書出版 専務取締役 編集本部長の黒川弘一氏。

 教育研究者として、教育工学が専門の東北大学 大学院 情報科学研究科 教授の堀田龍也氏と信州大学 学術研究院 教育学系教授の東原義訓氏、学校経営学を研究する千葉大学 教育学部 教授の天笠茂氏、障がいのある児童生徒の学習支援を専門とする東京大学 先端科学技術研究センター 准教授の近藤武夫氏、教育工学および外国語教育が専門の東京国際大学 商学部教授の山内豊氏が参加する。

 学校関係者では、全県立高校で1人1台タブレット端末の持ち込みを義務化した佐賀県の教育委員会 副教育長 福田孝義氏、区内の小中学校全校にタブレット端末を配布している荒川区 教育委員会 教育長の高梨博和氏、小中一貫のICT教育を実践する春日学園つくば市春日小学校・中学校の元教頭であるつくば市教育局総合教育研究所 副所長 毛利靖氏、MacBook ProやiPad、Chromebookの導入実績がある広尾学園中学校高等学校 教務開発統括部長 金子暁氏らが委員に選出されている。

 そのほか、民間企業からはベネッセホールディングス ベネッセ教育総合研究所理事長 新井健一氏、教員向けトレーニングサービスを提供するキャリアリンク 代表取締役 若江眞紀氏。学校関係者では、練馬区立光が丘春の風小学校 校長 福田純子氏、岐阜市立岐阜特別支援学校 教諭 神山忠氏、全国高等学校PTA連合会 理事 井上秀子氏、日本PTA全国協議会 会長の尾上浩一氏が参加する。

検討会の3つの論点

 同会議での検討課題は、大きく3点ある。

 1点目は、デジタル教科書の「検定の在り方」だ。教科書検定は、教科書会社が著作、編集した図書について、教科用図書検定調査審議会が、学習指導要領への準拠性、政治・宗教の扱いや取り上げる題材の公正性、事実関係の記述の正確性などの観点で審議、合否を判定するもの。現行の紙の教科書の検定は、使用開始の約2年間に実施されている。デジタル教科書の場合、例えば、文中で引用されたリンク先の情報について、準拠性や公正性、正確性をどのように担保するのか。今後、同会議で検討される予定だ。

 2点目は、デジタル教科書の「供給の仕組み」について。教科書は、4月の新年度始まりに合わせて全児童・生徒へ一斉配布する必要がある。将来、全国の学校に1人1台の学習者用端末が整備されたとして、それらの端末にデジタル教科書をどのような方法で配布するのか。

 2014年度に、全県立高校1年生を対象にWindowsタブレットの持ち込みを義務化した佐賀県では、教科書会社のサーバからデジタル教材をダウンロードする際に不具合が発生した。これを踏まえて、2015年度はUSBメモリとSDカードを使ってデジタル教材を配布している。同会議では、佐賀県のダウンロード障害の事例も参考にしながら、デジタル教科書の供給手段についてさまざまな側面から検討する予定だ。

 3点目は、デジタル教科書の「制作コストと定価設定」だ。2015年度に使用される紙の教科書の1冊あたりの平均価格は、小学校用404円、中学校用533円、高等学校用823円となっている。義務教育で使用する教科書は、国が購入して児童に無償供給しており、2015年度の義務教育教科書購入費は約412億円。

 デジタル教科書の在り方についても(1)紙の教科書を代替するのか、(2)紙の教科書と併用するのか――の議論があるが、(1)のケースでは1冊400円程度で製作できるのか、(2)のケースでは紙とは別に予算化する必要性があり、学校教育費全体の中でのコストをどう考えるのか、議論の必要がある。

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