海外コメンタリー

効果的なユーザーエクスペリエンスを実現するために--心理学の知見に基づくヒント

Joe McKendrick (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-06-05 06:15

 ユーザーエクスペリエンス(UX)は通常、デザイン上の問題と見なされてきた。魅力的なグラフィック要素とナビゲーションをインターフェースに組み込み、そこに意味のある相互作用を構築すれば全てがうまくいく。

 しかし、それは全体像の一部にすぎない。UXはおそらく、その33%がスクリーン上のデザイン、見た目やナビゲーション、33%が相互作用やエンゲージメント、そして33%が心理的な要素によって成り立っているのだ。あるいは、もっと考えてみると、心理的な要素の割合はさらに大きいかもしれない。もしかしたら、心理的な要素が50%で、デザインが25%、相互作用とエンゲージメントが25%の可能性もある。

 Spencer Lanoue氏による、UXの心理学的側面についての最近の投稿を読むと、われわれが認めている以上に深いレベルで、UXへの影響があるようだ。UserTestingのデジタルマーケターであるLanoue氏は、どのようなUXでも、いくつかの心理学的法則に従えば成功の確率が高くなるとしている。Lanoue氏のアドバイスは主に消費者向けのサイトやサービスに関係するものだが、こうした知識は社内向けのサービスにも適用できる。企業のエンドユーザーは、特定のサービスやアプリケーションを採用することの有効性や利点について「納得」できていなければならない。IT部門が外部のクラウドサービスとある程度競合するような時代には、サービスなどの採用において、心理学的要素が重要な役割を果たすかもしれない。

 返報性:「返報性の原理とは、われわれがほかの人のために何かをしたら、その人はわれわれにお返しをしたいと考えるということだ。自分のユーザーに何かを頼む前に、こちらから何か役に立つものを提供すれば、そのユーザーは後に取引することで返礼してくれる可能性が高くなる」とLanoue氏は指摘している。この返報性には、ユーザーが自分のアプリケーションやサービスを利用してくれた見返りに、何かを「無料」で提供するという意味が含まれることもある。

 社会的証明:周囲からのプレッシャーが持つ力を軽く見てはならない。特に、サービスやアプリケーションへのアクセスや採用を勧めるという時にはそうだ。大きな影響力を持つ人物がユーザーコミュニティーにいれば、採用を後押ししてくれるだろう。

 希少性:これは、コモディティ化の心理である。人々は、時間や量の面で限られていると思われるものに価値を見出す。これをUXで実現する方法の1つは、期間限定で機能を提供することだと、Lanoue氏は提案している。

 フレーミング:比較、または並べて対比する。人間の視線は必ず最初に画面の右上に置かれることを忘れないでほしい。したがって、ほかの要素との比較の基準となる最初の要素は、画面の右上に配置すべきだ。Lanoue氏は高級レストランのメニューでこれを例えている。そのメニューでは、最も高価な料理(仮に130ドルとする)が右上、それよりも低価格な料理(30ドル~50ドル)がほかの場所に配置されている。顧客の視界に最初に入るのは高価な料理なので、それに比較すると、ほかの料理は「お買い得」に見える。

 顕現性:ユーザーに具体的なメッセージやサービスを提示することが効果を表わすのがこの部分である。ユーザーのプロフィールや役割に関連する機能を提供するとよい。

 対比:重要な要素をユーザーの目に留まりやすくするような、色や画面の機能を採用することをためらってはいけないとLanoue氏は助言する。「対比の原理に従えば、人間は周りのものより目立つものを記憶する傾向が強い」(同氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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