アラクサラなど、クラウドでのネットワークフォレンジックに成功

NO BUDGET

2015-06-04 08:30

 アラクサラネットワークスとトーテックアメニティ(名古屋市)は6月2日、サイバー攻撃や内部不正対策での“ネットワークフォレンジック(ネットワーク証拠保全)”を共同で検証したと発表した。テラビットスケールのクラウドセキュリティに対応するという、

 フォレンジックス(forensics)は、もともと「科学捜査」という意味。ITの領域ではデジタルデータを収集、保存する各種技術や手法、製品などを総称する用語であり、証拠として利用するためにコンピュータ内やネットワーク上のデジタルデータを収集、分析、保存することを目的としている。

 このうち、特に目的をネットワーク上に限定し、ネットワーク上で送受信されるデータを記録し、内容を復元、分析することをネットワークフォレンジックと呼び、サイバー攻撃の脅威が増えつつある中でのリスク対策として注目されている。

 ネットワークフォレンジックを利用することで万一サイバー攻撃や内部不正による被害が生じた場合でも、被害の範囲や攻撃経路などを迅速に特定できるとされている。送受信されるデータの内容を監視することで不正なデータの送受信を検知し、アラームを流すことも可能とされている。

 多くのエンドユーザーが混在し大量のデータが流れるクラウド環境では実現が困難であったことから、これまでは主に企業内のオンプレミス環境を中心に利用されてきた。今回、アラクサラのルータ「AX8600R」やスイッチ「AX8600S」とトーテックのフォレンジックサーバ「NetRAPTOR」を組み合わせて、クラウド環境でも活用できるネットワークフォレンジックを検証した。

今回検証した仕組み
今回検証した仕組み(アラクサラ提供)

 具体的には、指定された条件に合致するパケットのみを指定ポートにも出力する「選択的ミラーリング」機能をAX8600S/R上に実装し、100Gbpsの回線から指定したデータフローを抽出してNetRAPTORに送り、記録、分析した。これにより、クラウド環境の大量のデータの中から必要なデータのみを対象としたフォレンジックスが可能という。

 100Gbpsの帯域を流れるデータから必要なフローを抽出してフォレンジックでき、テラビット級の通信データを扱う大型データセンターでも利用できるとしている。ルータやスイッチでフローを抽出するので、外付けのデータ分岐(TAP)装置が不要になると説明している。

 ルータやスイッチのシェーピング機能でサーバに送るデータを平準化するため、一時的な大量トラフィックによる取りこぼしが生じないと説明。メールに添付されるWordやExcel、zipなどの添付ファイルを分析できるとともに、日本語文字コードにも対応している。

 今回の仕組みを活用すれば、マルチテナントのプライベートクラウドを提供するクラウド事業者にとっては、テナントごとのネットワークフォレンジックをSaaSとして提供できるという。ユーザー企業にとっては、フォレンジック可能なオンプレミス環境で利用している機密性の高いデータをプライベートクラウド環境に移し、フォレンジックサービスを社外に委託できるようになり、耐災害性向上と業務効率化が図れるとしている。大量のデータの中でも、必要なフローについてリアルタイムで検索し、不正なデータの動きを検知してアラームを出すことができる。

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