自分たちが集めたデータを活用することで、収益を高める方法を見出そうとする企業が増えつつある。
しかし、データサイエンティストの数が不足する中で、企業が意味のある情報を引き出すことは難しくなっている。
こうしたスキルの不足を受けて、大手クラウドサービスプロバイダーは、企業が機械学習に取り掛かる機会を与える、オンデマンドサービスを立ち上げている。
機械学習は、コンピュータにデータの中のパターンを見つけさせる技術で、ユーザーが好きそうな本や映画を提案するオンラインレコメンドエンジンを動かしている。企業は機械学習モデルを使って、「この電子メールはスパムかどうか」や、「この地域では商品がどれくらい売れそうか」といった有益な予測を行うことができる。
AmazonやMicrosoft、Googleは、それぞれのクラウドプラットフォームを通じて、オンデマンド機械学習サービスを提供しているが、統計学の予備知識のない開発者にとっての使いやすさは、サービスごとに違っている。
Amazonは、オンライン書店としての初期の頃から機械学習を使っている。同社は当時、人間の編集者が100万種もある本の中からおすすめを選ぶのに有益な方法がないか模索していた。
AWSのデータサイエンス担当ゼネラルマネージャー、Matt Wood氏
提供:Amazon
Amazon Web Services(AWS)のデータサイエンス担当ゼネラルマネージャーのMatt Wood氏は、「われわれは組織として非常に早い段階で、機械学習がビジネスの成長に重要になると判断した」と述べている。
「われわれは決断に迫られていた。機械学習の専門家をたくさん雇うべきだろうか。そんな人はごくわずかしかいないというのに。彼らは、統計学と相互検証、アルゴリズム設計のスキルを兼ね備えた、非常にまれな人材だ」(Wood氏)
Amazonはそうする代わりに、比較的少数の機械学習の専門家を雇って、同社の開発者全員が使うことのできる社内サービスを構築することに決めた。
「われわれがこの革新的なひらめきを得たのは、開発者たちが、機械学習に精通してそのメリットを活かせるようにするために、多くの時間を費やす必要がなかったからだ」とWood氏は述べたうえで、フルフィルメントやキャパシティプランニング、サプライチェーン管理、偽造商品の特定といった分野における、同サービスの役割を指摘した。
AWSが現在公に提供している機械学習サービスは、同社の社内スタッフが利用しているのと同じアルゴリズムに基づいている。顧客は、MySQLをバックエンドとして使用する「Amazon Relational Database Service(Amazon RDS)」や、オブジェクトストア「S3」、データウェアハウスサービス「Redshift」に格納されたデータを使って機械学習モデルを構築し、トレーニングを行うことができる。