米国家安全保障局(NSA)の諜報プログラムの1つである「X-Keyscore」の内容が、元NSA契約職員のEdward Snowden氏が提供した資料により明らかになった。The Interceptが米国時間7月1日に報じた。このプログラムがどれだけ深くまでウェブの中に入り込んで、チャットや電子メールやドキュメントなど任意の種類の通信内容を見つけ出すことができるかが、かなり詳しく説明されている。
NSAのアナリストらのトレーニングに使用された「Powerpoint」形式のプレゼンテーション資料から抜粋したものとされるこれらの文書には、以下の内容が示されているようだ。
- Barack Obama米大統領は、NSAのX-Keyscoreプログラムによって、国連の潘基文事務総長が1対1のミーティングで取り上げる予定の話題のリストを入手した。
- アルカイダの上級指導部の1人が自分自身をGoogle検索して、自分のさまざまな別名に関する情報を確認したが、NSAはその間、この人物の活動をX-Keyscoreで追跡していた。
- NSAはトレーニング対象者に対し、2008年の時点でX-Keyscoreを使用して300人のテロリストを確保したと述べている。
- NSAは、インターネットユーザーのウェブ検索と位置情報を追跡するX-Keyscoreの機能を利用して、パキスタンに居住するドイツ人など、特定の集団に所属する人物を検出することができる。
- 米政府は、民間企業が自社のウェブサイト上で使用する、クッキーと呼ばれるユーザー識別ツールによって、個々のインターネットユーザーを追跡している。これらは通常、コンピュータ上で保護されているが、X-Keyscoreはその保護を回避できるらしい。
The Guardianがこのプログラムについて最初に報じたのは2013年のことだったが、今回の新たな詳細情報からは、このプログラムが、通信やインターネットユーザーに関する機密情報の取得にどれだけ長けていたかがうかがえる。
なぜそれほどまでうまくいったのか。同プログラムは、世界の通信ネットワークを構成する光ファイバケーブルを介して情報を取得していたという。理論的には、インターネット上で任意の時点で伝送されるすべてのトラフィックを取得することができる。NSAはそのデータをすべてサーバ上に格納し、アナリストらはそのデータを徹底的に調査していた。
NSAは、今回のThe Interceptの記事を受けて、次の声明を出した。
「NSAの国外諜報活動は、1)法律によって認められており、2)複数の段階で構成される非常に厳しい内外の監督下にあり、3)プライバシーと人権を保護する方法で実施されている。大統領政策令28に定められているように、国籍に関わらずすべての人々に、自分の個人情報の取り扱いに関するプライバシーの権利が法律によって認められている。NSAは労をいとわず、国外の諜報活動や対諜報活動を含む可能性の高い通信に対する、通信や電信等を介した諜報活動の対象を調整して絞り込んでいる」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。