Firefoxの設計の見直しを進めるモジラ--XULからの脱却も模索

Chris Duckett (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2015-07-09 12:11

 ユーザーインターフェース開発用言語「XUL(XML User Interface Language)」はFirefoxの開発初期から重要な役割を担ってきた。しかしXULが時代遅れとなった今、MozillaはFirefoxをXULから脱却させる方法を模索しているが、現時点で有望な方策は見つかっていない。

 Mozillaのエンジニアリング担当ディレクターであるDave Camp氏はメーリングリストへの投稿の中で、XULからの脱却に関する議論は未だ初期段階にあり、代替となる言語の選定や、膨大な数のアドオンへの影響など、解決すべき問題が山積していると述べた。

 「開発初期にXULを採用した主な理由は、大規模なウェブアプリケーション開発におけるHTMLの不足部分を補うためだった。しかしその後、ウェブ開発関連の技術や標準規格は劇的な進化を遂げており、我々はそれに追随する必要がある。XULとXBL(XML Binding Language)はパフォーマンスに関する未解決の問題を抱えているうえに、Geckoを無用に複雑化させる要因ともなっている」とCamp氏は述べている。

 Camp氏によると、Mozillaは先日Firefoxに搭載されている機能のレビューを実施し、改善すべき機能、廃止すべき機能、サードパーティーとの提携を模索すべき機能の検討を行ったという。「Firefoxが搭載するすべての機能は、洗練され、問題を引き起こさず、快適に使用できる必要がある。その条件を満たさない機能は、そもそも搭載すべきではない」

 最初にとりかかる要素の1つが、「Electrolysis(e10s)」である。Camp氏によると、マルチプロセスを実現し、操作性と反応速度を向上させる手段として開発されたe10sについて「Firefoxを素晴らしいものと感じさせる、きびきびしたユーザー体験を実現できるのはe10sしかない」と述べ、作業は、Geckoエンジン全体のみならず数多くのアドオンにも影響を与えるという。

 一方、「Pocket」や「Firefox Hello」など、Firefoxが最近搭載した新機能はユーザーの反発を招いたが、これについてCamp氏は「Pocketなどの新機能は簡単に削除できるアドオンとして提供すべきだというコミュニティの声を真摯に受け止め、今後は新機能や提携パートナー機能の実装方法を慎重に検討する必要があると考えている」とコメントしている。

 近年になりMozillaはその守備範囲を拡大し、途上国向けの端末や低価格の端末をターゲットにしたモバイルOS「Firefox OS」の開発に乗り出すとともに、広告やパートナーシップを通じてFirefoxから収益を上げるための試みを始めている。

 以前、MozillaはGoogleと締結していた10年間の検索エンジン契約から主な収益を得ていた。この契約がもたらす収益は、2013年にはMozillaが上げる全収益の実に9割を占めるに至っていたが、契約は2014年末で終了となった。そのためMozillaは2014年11月、新たにYahooと5年間の契約を締結した。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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