海外コメンタリー

過去を克服した「Windows 10」、PC市場に頼れない今後の勝算は? - (page 2)

Steve Ranger (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-08-10 06:15

 Forrester ResearchのアナリストFrank Gillett氏は、Windows 10に関する調査で、「Microsoftがモバイル分野でWindowsのシェアを拡大していくには長い時間がかかるだろう」と述べるとともに、「企業向けタブレットにおけるWindows 10のシェアは着実に伸びていくだろう。しかし同社の計画からは、iOSやAndroidを使用している開発者や顧客が乗り換えを決断できるような、モバイル上でのエクスペリエンスを差別化できるだけの十分なポテンシャルが伝わってこない」と述べた。

 このことは懸念だ。というのも、PC市場が今すぐ消えてなくなるような事態にはならないとはいえ、その急成長は見込めないためである。世界におけるハードウェア市場の成長の大部分はタブレット(あるいはハイブリッドPC)やスマートフォン、さらにはウェアラブル機器となりそうな勢いなのだ。Windows 10は、これらすべてのフォームファクタをサポートしている。しかし、こうした成長分野ではそのライバルほどの勢いを有していない。

 それでもPC市場におけるMicrosoftの位置付けは、Windows 10によって強化されるはずだ。無料アップグレードにより、ほとんどのコンシューマーがアップグレードに踏み切り、企業もゆくゆくは移行するはずだ。また、多くのユーザーが標準化された同じバージョンのWindowsを使うことで、アプリケーション開発者は今までよりも多くの顧客に、より迅速にリーチできるようになるはずだ。

 さらに、PC上だけでなく、タブレット上やスマートフォン上でも動作するWindows 10アプリの開発もずっと容易になる。これらを考え合わせると長期的に見れば、モバイル分野におけるMicrosoftの現在のエコシステムを大きく変革するうえで同社が最小限必要とする数のアプリが生まれるかもしれない。ただし、アプリの数ではMicrosoftのライバル企業が大きく先んじているため、同社がすぐに逆転するのは難しいだろう。

 Windows 8に不足していたものをWindows 10によって補うことで、Microsoftはライバルに押されている戦況を逆転できるかもしれない。しかし、明日の戦争で勝利できるかどうかはまだ何とも言えない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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