Windowsが無償でも収益は成り立つ:日本MS平野社長

羽野三千世 (編集部) 2015年08月06日 07時00分

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 7月29日に「Windows 10」のダウンロード提供が開始された。Windowsの大規模なバージョンアップはこれが最後になり、今後はサービスとして、随時無償で機能拡張されていくことになる。日本マイクロソフトが、Windowsのライセンス販売事業に代わる法人向けビジネスの柱の1つに位置付けるのが「Microsoft Dynamics CRM」だ。7月1日に日本マイクロソフト 取締役 代表執行役 社長に就任した平野拓也氏に、Windows 10やDynamics CRMの事業戦略について話を聞いた。


日本マイクロソフト 取締役 代表執行役 社長 平野拓也氏

――Windows 10の投入でWindowsライセンス販売ビジネスが確実に縮小します。日本マイクロソフトの収益にどの程度のインパクトがあると想定していますか。

 MicrosoftがOSを無償で提供するのは、Windows 10が初めてではありません。画面サイズが10インチ以下の小型タブレット向けにはすでに無償提供を開始しています。それから、これまでWindowsと並んでライセンス販売ビジネスの2本柱にしていたOfficeについてもAndroid端末、iOS端末向けに無償で提供しています。

 それでも、7月21日(米国時間)に発表した直近の決算では、Nokia関連事業の一次的なリストラの影響を除いて、売上高、利益ともに過去最高でした。WindowsやOfficeを無償化し、さまざまなデバイスからAzureなどMicrosoftのクラウドテクノロジを体感してもらうフリーミアムのビジネスモデルが成功していることは、この経営数字から実証されています。Windows 10を無償提供しても、当社は収益を出すことができるのです。

――Windows 10の世代ではPCでもスマートフォンでも同じコードで動作する「Universal App」の開発が可能になったほか、“スマホをPC化する”とうたう「Continuum」などの新機能が提供され、ビジネスアプリデバイスとしてWindows Phoneへの期待が高まっています。しかしながら、日本市場にWindows Phoneのデバイスがほとんどありません。

 Windows Phoneへの法人からの期待は、Windows 10の発表以前から、継続して高い状態です。MicrosoftブランドのWindows Phoneデバイス「Lumia」の日本市場での展開は確定していませんが、マウスコンピュータからの国内販売が決定するなど、サードパーティでの開発が進んでいます。

 スマートフォンは、Windows 10のユニバーサルプラットフォームがサポートするデバイスの1つでしかありません。これから先、人々はスマートフォンやタブレットだけでなく、ウェアラブルデバイスや、画面のないIoT機器などさまざまな形のデバイスでデジタル体験をする世界になります。それらのデバイスすべてに対応できるのがWindows 10です。

 スマートフォン市場はもうある程度確定したマーケットですが、IoTはこれからの分野です。IoTの世界には機械学習などのプラットフォームが必要であり、ここでMicrosoftのAzureに大きな可能性があります。

 われわれがIoT分野で目指しているのは、ユーザーがさまざまなIoT機器からAzureの強力なエンジンを体感する世界です。ここでは、別にWindowsを使ってもらわなくても構わない。Azureはクロスプラットフォームで利用できる柔軟なプラットフォームです。ユーザーにとってWindowsがベストな選択であればWindowsを選んでもらえばいい。われわれは、ユーザーが喜んでWindowsを選んでくれるように、努力を続けます。

――ところで、Windows 10が提供されない「Surface RT」「Surface 2 RT」のユーザーに対して、日本マイクロソフトで何らかの救済策を講じる予定はありますか。

 今のところ、特に予定していません。是非、新しくなったSurfaceを体験してください。

――2016年度の経営方針説明会で「Dynamics CRMの拡販に注力する」と発言しました。CRMの分野には、Salesforce.com、SAP、Oracleなど巨大なマーケットリーダーが存在します。

 確かに、CRM市場でわれわれはチャレンジャーの立場ですが、Dynamics CRMには、特にクラウドサービスで競合他社と差別化できる優位性があります。

 まず、Dynamics CRMのデータセンターは国内にあります。この点で、日本企業に対して「安心」「安全」というメッセージが出せます。それから、生産性向上のためのクラウドサービスとしてデファクト製品になったOffice 365との親和性があり、ネイティブにつながります。さらに、日本マイクロソフトの強みであるパートナーのエコシステムを活用し、Dynamics CRMの上にアプリケーションを作り込むこともできます。

 8月に実施する「テレワーク週間 2015」も、Dynamics CRMのマーケティングの一端を担います。テレワーク週間 2015は、クラウドやデバイスを有効に活用して業務効率や生産性を上げていく“テレワーク”を推進するための取り組みであり、日本マイクロソフトと賛同企業が一緒にテレワークを実施するものです。ワークスタイルの変革は、多様な人材を取り込んで企業力を高めることにもつながります。このテレワークによる生産性向上を支えるのが、Office 365やDynamics CRMなどのクラウドサービスです。


「Windows 10は、ユーザーが喜んで使うOSを目指します」(平野氏)

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