世界のネットワークの中央化、規制、グローバル化が進んでおり、インターネットの自由という夢は滅びつつある--ラスベガスで開催された年次カンファレンス「Black Hat USA」の講演で米国時間8月5日、Jennifer Granick氏がこう述べた。
Stanford Center for Internet and Societyで市民の権利担当ディレクターを務めるGranick氏は、20年後のインターネットは当初の夢である自由やグローバルな対話を反映していないものになると予想した。
「洗練され、堅苦しく、コントロールされ、閉鎖されたものになる」とGranick氏。
最初にインターネットが設計されたときの重要な要素だった分散されたネットワークという考え方とともに、情報はアクセス可能であるべきだというハッカーの倫理も滅びつつあるという。そして、セキュリティとプライバシーを備えつつ言論の自由を可能にするネットワークという考えも滅びつつあるとのことだ。
Granick氏は弁護士でもあり、インターネットの先駆者といわれるAaron Swartz氏の弁護をはじめ、インターネットが関連した事例を多く手がける。Granick氏は世の終わりを提唱しているのではない。約25年前に初めてインターネットを利用して以来、その可能性を熱心に信じており、情報が自由に手に入り、年齢、人種、性別、階級の制約を破るオープンなインターネットの信念を抱いてきた。
今日のインターネットは以前ほどオープンではなく、中央化が進んでいるとGranick氏はいう。Facebookのような巨大なサイトがインターネットだと信じる人もいるからだ。そして、規制化も進んでいる。権利に関する法や手続きを持たない他の政府がインターネットの持つ力を利用しようとしており、米国の独占も薄れているという。
Granick氏は、将来のインターネットは自由を提供するのではなく、既存の権力構造を補強するものとなるだろうと予想する。特にセキュリティ分野ではこの傾向が強いという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。