調査

Windows 10はポリシー変更にも留意しておくことが重要--ノークリサーチ

NO BUDGET 2015年09月03日 08時21分

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 ノークリサーチは9月1日、Windows 10が中堅・中小企業の業務システム端末の活用に与える影響に関する調査結果を発表した。

 調査は日本全国全業種の年商500億円未満の中堅・中小企業において、PCやスマートデバイスの活用において最終決裁、計画立案、情報収集、管理/運用といった職責を担っている社員を対象として7月に実施した。有効回答件数は496件。調査によると、無償提供期間内にWindows 10へ移行する方針としている中堅・中小企業は18.5%、現行OS維持は28.6%だった。


2015年版中堅・中小企業におけるPC/スマートデバイス活用の実態と展望レポート
(ノークリサーチ提供)

 Windows 10は7月29日から配布が開始され、提供開始から1年間はWindows 7 SP1またはWindows 8.1 Updateを利用しているユーザーはWindows 10へと無償でアップデートできる。それを踏まえ、Windows 10への移行をどのように考えているかを尋ねた結果が上のグラフ。

 「所定期間内にWindows10への無償アップデートを行う」が18.5%に留まる一方、「Windows10にはアップデートせず、現在のバージョンを継続利用する」が28.6%、「現時点では判断できない」が31.7%と、まだ慎重な姿勢を示す中堅・中小企業は6割に達している。

 今回の調査段階ではWindows 10に未対応の業務システムも少なくない。今後は順次改善されることになるが、少なくとも「無償」という理由だけでは中堅・中小企業におけるWindows10への移行を強く後押しすることは容易ではなく、既存の業務システム側での対応や何らかの新たなメリットを訴求していくことが必要と考えられる。

OS新機能については「自動的に適用」よりも「適用の可否を自社で判断」を望む声が多い

 さらに、Windows 10を契機に管理/運用に関連するポリシー変更が行われることにも留意しておく必要がある。

 Windows 10以降では、OSの新機能やセキュリティパッチが継続的に適用されるようになる。中堅・中小企業において多くを占めると予想されるエディションである「Windows10 Pro」で選択できるポリシーは、新しい機能を積極的に反映させる「Current Branch」と一定期間の経過後に反映させる「Current Branch for Business」の2つ。

 つまり、新機能の適用を一定期間遅らせることはできても、そもそも適用するかどうかをユーザー企業が選択/制御することができなくなる可能性がある。

 また、Microsoftは月次でセキュリティ更新プログラムを公開している。従来は公開数日前にブログやウェブを通じて更新内容を事前に通知していたが、1月以降は有償のサポートプログラムに加入している企業のみに事前通知を提供する方針へと変更された。

 こうした一連の新しいポリシーについて、中堅・中小企業はどのように考えているのか、その一例を示すのが下のグラフ。「新機能に関連する選択肢」に関する中小企業クラス(年商5~50億円)と中堅Lクラス(年商50~100億円)における結果を抜粋したもの。


2015年版中堅・中小企業におけるPC/スマートデバイス活用の実態と展望レポート
(ノークリサーチ提供)

 「新機能を適用するかどうかは自社で選択したい」が「新機能は自動的に適用するようにして欲しい」を大きく上回っていることがわかる(他の年商帯も同様の傾向)。そのため、中堅・中小企業では「Current Branch」や「Current Branch for Business」がユーザー企業のニーズと必ずしも合致しない可能性もある。

 ユーザー企業のIT管理/運用担当者、業務システムを開発/販売するISV、システム構築/運用を担う販社/SIerは新しいポリシーの内容を理解した上で、新機能の適用直後における既存システムの動作確認や、一般ユーザーに対する留意事項告知のプロセスをルーチン化するなどの準備を検討しておくことが重要と考えられる。

端末管理システムは徐々にクラウド形態へ、ユーザ企業に選択の余地を残すことが大切

 Windows 10を含むPC全般、およびスマートデバイスまで含めた業務システム端末に関するさまざまな領域に関して、「端末管理システムの設置形態」に関する項目の中小企業クラス(年商5~50億円)と中堅Lクラス(年商50~100億円)における結果を示したのが下のグラフ。


2015年版中堅・中小企業におけるPC/スマートデバイス活用の実態と展望レポート
(ノークリサーチ提供)

 「現在は自社内設置であり、今後も自社内設置を継続する」が最も多いが、一方で「クラウドへ移行済みであり、今後もクラウドを継続する」も2割程度存在している点に注意する必要がある(年商50億円以上の中堅企業全般で同様の傾向が見られる)。

 また、「クラウドへと移行したが、今後は自社内設置に戻す」はごくわずかに留まる。この結果を踏まえると、端末管理システムの設置形態は自社内設置からクラウドへと次第に移行していく可能性が十分考えられる。

 IT管理/運用を担う人員が限られる中堅・中小企業にとって、クラウド形態の端末管理システムは管理/運用の負担を軽減する上で有効な選択肢の一つと考えられる。前項で触れた「Current Branch」や「Current Branch for Business」も広義にはクラウド形態の端末管理を実現する手段といえる。ここで大切なのは『クラウド形態の端末管理システムを提供すること』と『ユーザー企業に取捨選択の余地を残すこと』を切り分けて考えることだ。

 もし、ユーザー企業の中に「クラウド形態=融通が効かない」というステレオタイプが形成されてしまうと、今後の端末管理システムの進歩にも大きな障壁となってしまう。ユーザー企業に選択の余地を残しつつ、クラウド形態による利便性を享受できるようにするための工夫や試行錯誤が重要になると考えられる。

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