IDCフロンティア、白河データセンターに新棟--計300ラック、ヤフー専用

NO BUDGET

2015-09-25 18:20

 ヤフーとグループ企業のIDCフロンティア(IDCF)は、福島県白河市の環境対応型大規模データセンター「白河データセンター」に新しく3号棟を建設する。建設規模は1棟50ラック全6棟で計300ラック規模、10月1日に着工し、2016年2月末の竣工を予定している。

 新棟は、ヤフー向けに提供を予定しており、増加するデータを格納するとともに、ヤフーが保有するデータを活用するための処理基盤強化を目的としている。さまざまな企業がデータセンターを利用する場合と比べ、1社専用とすることで設置する機器の画一化と動作環境を絞り込むことができ、建物の工期短縮と効率の高いサーバの収容を実現するという。

白河データセンター3号棟完成予想図
白河データセンター3号棟完成予想図(IDCF提供)

 白河データセンターは、広大な敷地により随時の拡張が容易な地方型データセンターの特長と、郊外型データセンターと同等のネットワークレスポンスをあわせ持つという。ネットワークの伝送路を直線距離に極力近づける最短経路で設計し、中継ノードも可能な限り少なくすることで東京-白河間の遅延(レイテンシ)は3.5ミリ秒前後と東京近郊に位置するデータセンターと同等の応答速度と説明する。

 IDCFによると、一般的には拠点間の物理的な距離に比例し、東京-大阪間は10ミリ秒前後、東京-北海道/九州間では15ミリ秒前後、東京-沖縄間35ミリ秒前後とされている。白河データセンターでは東京-大阪間の約3分の1、東京-北海道/九州の約4分の1、東京-沖縄の約10分の1と、物理的な距離に比例しない高速なネットワーク環境と優位性を強調している。

 新たに建設する3号棟は、今後見込まれる需要の変化に迅速で柔軟に対応するために、需要に応じて建設するモジュール方式を採用。複数階の建屋型から平屋型へダウンサイジングすることで、工期を従来の1年から5カ月へと短縮を見込んでいる。

 複数に分割した構造物を現地で組み立てる建設方式の採用と小規模モジュール単位での段階的な施工で建設コストも最適化を測る。ヤフーでは将来の増棟にも備え、優先買取権を有する約2万m2の隣接地取得に向け、所有する福島県と調整を進めているという。

 3号棟では、サーバから出る排熱を冷やすための空調ユニットに、外気を導入して空調効率を高める間接外気空調方式を採用。空調ユニットはサーバルームのモジュールに直接接続され、白河の冷涼な気候も最大限活用することで、年間の電力使用効率(Power Usage Effectiveness:PUE)は設計値で約1.2を見込んでいる。

名称白河データセンター
場所福島県白河市
工期3号棟:2015年10月着工~2016年2月末竣工(予定)※第1期200 ラック
1号棟と管理棟:2011年9月着工~2012年9月竣工(2012年10月稼働)
2号棟:2014年6月稼働
敷地面積3号棟:約3400m2
全体:約2万5000m2
延床面積3号棟:約1900m2
1~2号棟:各棟約5900m2
1~3号棟と管理棟など施設含む合計:約1万6600m2
ラック数3号棟:約300ラック(約50 ラック×6棟)
1~2号棟:各棟約600ラック
1~3号棟の合計:約1500ラック
建物構造・規模3号棟:鉄骨造地上1階
1~2号棟:鉄骨造地上4階
床荷重3号棟:1500kg/m2
1~2号棟:1000kg/m2
実効電力ラックあたり8kVA
受電能力25メガボルトアンペア
電力事業者東北電力
空調方式3号棟:間接外気空調
1~2号棟:直接外気空調(ファン+コイルユニット空調)
PUE約1.2(設計値)
レイテンシ東京-白河データセンター間3.5ミリ秒前後

 同データセンターは、IDCFのクラウドコンピューティングやストレージサービスの東日本最大拠点、またヤフーグループでも大型データ拠点のひとつであり、グループ全体のインターネット事業のインフラ基盤の強化、データ利活用のための基盤整備のために展開していくことを予定している。

 ヤフーでは、今後もIDCFなどの協力を得てデータインフラの整備、強化を進めていく。各サービスの運用で蓄積される膨大な“マルチビッグデータ”の利活用のため、今後1年間で新卒と中途を合わせて200人以上のエンジニア職(インフラエンジニアなど)を採用していく予定(勤務地は東京、大阪、名古屋を予定)。

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