日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は9月29日、同社がインフラの俊敏性や柔軟性を高くするためのビジョンとして「HPコンポーザブル・インフラストラクチャ(HP Composable Infrastructure)」を推進すると発表した。多種多様なインフラから物理リソースを切り出して組み立て可能にするという。
Composable Infrastructureでは、ITインフラを「可変的なリソースプール」として捉え、求められるワークロードに最適なリソースを自由に切り出して再構成できるという。仮想マシンをつくるように物理環境を組み立てることも可能とした。
物理環境を実現するために、Infrastructure as Code(コードによるITインフラの管理)というアプローチを実施する。コンピューティングやストレージ、ネットワークなどの物理リソースはソフトウェアから管理、制御する。
日本ヒューレット・パッカードはComposable Infrastructureが求められている理由として、ビジネスは賞味期限を逃さないことが重要であるが、ビッグデータ分野など考慮しなければならないワークロードが増えているためと説明。ビジネスの立ち上げスピードや多様性に追従できるIT環境を用意するために必要なこととして「(さまざまなビジネスに対応する)多様なワークロードへの対応」「環境変化に対応する迅速性」「継続的なコスト削減による効率化」を挙げた。

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズグループ事業統括HPサーバー製品統括本部 統括本部長 橘一徳氏
「Composable Infrastructureは仮想化の一歩先の概念だ。従来のITリソース基盤では固定化されたリソースを切り出すため個別のサービスセットアップが難しく、新たなワークロードに対応できない。IT運用の内製化範囲を拡大を支援したい」(日本ヒューレット・パッカード エンタープライズグループ事業統括HPサーバー製品統括本部 統括本部長 橘一徳氏)
これらの課題に対し、一気に応えられるのが統合APIを通じ、インフラのあらゆる要素を簡単に組み合わせて活用するComposable Infrastructureであり、柔軟性や共通基盤として利用できる汎用性に加え、ソフトウェアで管理できるデファインドインフラストラクチャを実現すると説明している。
Composable Infrastructureを構成する製品として、統合管理ツールの最新版「HP OneView 2.0」、「OpenStack」ディストリビューションの最新版「HP Helion CloudSystem 9.0」や、中規模仮想環境向け垂直統合型システム製品「HP ConvergedSystem 250-HC StoreVirtual(CS 250-HC StoreVirtual)」を発表した。
これらの製品群が示す通り、Composable Infrastructureとは、未知の製品によるものではなく、既存のソフトウェアにより対応可能なものであると説明。大きい投資は必要なく、導入が可能としている。
また、自動化環境の最適な構築や運用を支援するサービスとして「HP データセンターケア インフラストラクチャ オートメーション(DC-IA)」を同時に発表した。自動化フレームワークを提供する「Chef」とのパートナーシップを活用し、「対象ソフトウェアの24時間保守サポート」「自動化やコード化に関するアドバイス、ベストプラクティスの紹介」「ツール、サンプルスクリプトの提供」「定期的なレポート提出」などをサービスとして提供する。
DC-IAは、カスタマイズ型の保守サービス「HPデータセンターケア」のオプションとして、2015年中のサービス開始を予定している。

Composable Infrastructureの概念