データが悪ければ、良い意志決定はできない--トップ企業が語るデータ活用の秘訣

鈴木恭子

2015-10-21 16:47

 Teradataは米国時間10月18~22日の5日間、カリフォルニア州アナハイムでユーザーコンファレンス「Teradata 2015 PARTNERS」を開催している。期間中は約4000人のパートナー企業やユーザー企業が集い、日本からも約40人が参加している。

 PARTNERSは、同社のユーザー企業が主体となって運営されているコンファレンスだ。講演とセッションなどは、ユーザー企業で構成される「PARTNERS運営委員会」がすべて審査する。

 そのため、Teradataの製品紹介セッションよりも、同社製品を利用した事例セッションが大半を占める。今回も200以上のセッションやワークショップの中、約6割がユーザー企業の事例に基づくセッションだ。政府組織をはじめ、eBayやVolvo Cars、Procter&Gamble(P&G)などデータ活用のトップ企業が登壇した。

30周年を迎える今回のPARTNERSのテーマは「Breaking Big」
30周年を迎える今回のPARTNERSのテーマは「Breaking Big」

 今回のテーマは「Breaking Big」。ビッグデータを蓄積するだけのフェーズを“突破”し、分析と活用のフェーズへの移行を促す意味が込められている。19日の基調講演では、同社最高経営責任者(CEO)のMike Koehler氏や同社の研究部門であるTeradata Labsでプレジデントを務めるOliver Ratzesberger氏、共同プレジデントでグローバルデータ分析部門担当を務めるHermann Wimmer氏、同じく共同プレジデントでマーケティングアプリケーション部門担当を務めるBob Fair氏が登壇した。

 前日に発表した“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”で生成されるデータをリアルタイムに処理する「Teradata Listener」を紹介するとともに、データ分析がもたらす価値の重要性を強調した。

Lennie Colborne氏
McCain Foods エンタープライズデータインテグレーション責任者 Lennie Colborne氏

データが悪ければ、良い意志決定ができない

 冒頭登壇したのは、今回のホストである冷凍食品大手のカナダMcCain Foodsでエンタープライズデータインテグレーション責任者を務めるLennie Colborne氏だ。1957年創業のMcCain Foodsは、世界6大陸に50の生産拠点と2万人の従業員を擁し、160の国と地域でビジネスを展開している。主力商品は冷凍フライドポテトで、同市場の約75%を占める。McDonald'sやKFCなども同社の顧客であるという。

 Colborne氏がMcCain Foodsに入社した2008年当時、同社は36のSQL Serverにデータが分散されていたという。「1957年の創業時よりわれわれは、フライドポテトに最適なジャガイモを生産すべく、さまざまなデータを収集していた。しかし、グローバルで事業を展開しているため、データやリポートが各地域に分散し、その結果、迅速な経営判断が難しくなっていた」と以前の課題を語った。

 「この課題を解決すべく、Teradata Enterprise Data Warehouse(EDW)を導入してグローバル情報を一元管理し、標準データモデルを使用するようにした。その結果、例えば今まで24時間かかっていた分析作業がわずか10分程度で完了するようになった」

 現在は、すべての従業員が必要なデータにアクセスし、セルフサービスでレポーティングを作成、分析できる「データ駆動型のビジネス」ができるようTeradata EDWと「Teradata Aster」を活用して環境を構築しているという。具体的には気象データなどの第三者データ、空間イメージ技術による肥料散布モデルデータなどを活用し、収穫率の向上に努めているとのことだ。

 Colborne氏は今後の課題として、IoT化の促進を挙げる。「工場で稼働している機械にはアナログの部分があり、稼働状況をリアルタイムで把握することが難しい。こうした“未解決の環境”を改善し、すべての機械からデータを収集できるようになれば、新たな洞察と知見を得ることができる」(Colborne氏)

Mike Koehler氏
Teradata CEO Mike Koehler氏

 最後に同氏は、「良質のジャガイモでなければ、美味しいフライドポテトはできない。同じようにデータが悪ければ、良い意志決定ができない」と語り、データの重要性を訴えた。

データはトランザクションからインタラクションへ

 続いて登壇したTeradataのCEOであるKoehler氏は、データがもたらす価値について改めて言及した。「最初のPARTNERSが開催されたのは30年前だが、その時代から議論の中心は変わっていない。それは『どのようにデータを活用して価値を得るか』であり、Teradataのビジネスの心臓部でもある」(同氏)

 Koehler氏は、「現在は分析技術や手法が進化したことで、データ分析のエコシステムが確立され、新たなビジネスの可能性を生み出している」とし、「(こうした潮流は)Teradataにとっても、パートナーである皆さんにとってもビジネスを成長させる良い機会になる」と語りかけ、グローバルデータ分析部門担当のWimmer氏に話を次いだ。

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