タブレットに続いてPCも投入する米Microsoft、一方でPCベンダーからエンタープライズに拡大するにあたってMicrosoftと競合するVMwareを有するEMCを買収すると発表した米Dell。ともにPCの第一期を作り上げた2社の関係はどうなのか。2社の最高経営責任者(CEO)、Michael Dell氏とSatya Nadella氏が10月21日、「Dell World 2015」のステージで膝を突き合わせた。
Dell氏が「Surface Book」を採点
2年前にCEOに就任したSatya Nadella氏はかたやiOSにOfficeアプリをもたらし、「Office 365」でSaaSを積極的に進める一方で、「Windows 10」ではSufraceブランドのタブレット、そしてPCを発表するなど、さまざまな点で柔軟かつ積極的に戦略を進めている。
この日、Dell氏が基調講演を終えた後にステージに招かれたNadella氏はまず、共同で「Dell Hybrid Cloud System for Microsoft」を発表した。ハイブリッドクラウド環境を構築する顧客向けのもので、Dellの管理ソフト「Cloud Manager」を利用してMicrosoft Azureと簡単に接続できる。2014年に提携したCloud Platform System(CPS)Premiumのマス向けであるCloud Platform System Standardを土台としており、「Azureのパワーをハイブリッドクラウド環境にもたらす」とDell氏。

Michael Dell氏とSatya Nadella氏
製品発表の後のパネルでは、モデレーターがMicrosoftによるPCの参入、Windows 10の離陸、Amazon Web Services(AWS)が独占するパブリッククラウドおよびクラウド全体などをトピックに2氏の意見を聞いた。
「MicrosoftがPCを発表したが、2社の関係は友達?それともフレナミー(友達と敵)?」と聞かれると、Dell氏は「友達だ」と即答。そして「業界はエコシステムで成り立っている。DellとMicrosoftはオープンなエコシステムの推進者だ。重要なことは、顧客が選択肢を求めているという点だ。また、顧客の種類もさまざまだ」「MicrosoftはWindows 10を新しいカテゴリにプッシュし、一歩進めようとしている」と述べ、市場そのものを一緒に大きくしていくという点で友達であると説明した。
32年前にPCで起業し、ずっとPC事業を展開してきたベテラン中のベテランの目に、Microsoft初のPC「Surface Book」はどう映ったのか? Dell氏は「ボリュームは大きくないし、価格も高い。だが良い製品だ」と採点、すかさず「Dellはボリュームのある製品を提供する」と付け加えた。
Dell氏はSurface製品を氷を砕いて進む「砕氷船」と例える。そして、MicrosoftはDellハードウェアの大口顧客の一つであるとも述べた。
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ベンダー間の政治ではなく顧客の現実に基づいて戦略を立てる--Nadella氏
MicrosoftのNadella氏は「コアでは友達、われわれの友情は“顧客を見つめること”を基点としている」とした。一連のSurface製品のモチベーションについて、「われわれの役割はエコシステムを加速すること。PCの需要を喚起し、新しいカテゴリを発明すること」と説明した。
「PCは出尽くしたという見解は正しくない」(PC分野にイノベーションがないというのは誤り)。またDellとはSurfaceの再販で提携していることにも触れ、「正しいエコシステムを一緒につくる」と述べた。