被害を最小化するレジリエントセキュリティ

何をすればサイバーセキュリティリスクを把握したことになるのか

熊谷裕志 2015年12月18日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 前回は、スレットインテリジェンスを収集・分析し蓄積する手法と、実際に当社で実施しているDNSシンクホールによる蓄積例を紹介した。第4回目となる今回は、そのスレットインテリジェンスを活用し効率的にリスクを最小化するために、自組織で検討すべきリスクの把握方法について解説する。

サイバー攻撃によるリスクの実例

 標的型攻撃を受けた組織の例をもとにリスクを考えることにする。

 ある組織ではユーザーからサービスに関するメールを受け取り、そのやり取りをしていく過程で担当者が添付ファイルをクリックするということがあった。不審なメールは開かないという文言はよく耳にするが、不特定多数からのメールを受け付けているサポートを担当するような窓口ではビジネス上、どうしても開かざるをえない状況である。

 担当者がやり取りしていたユーザーは表向きその組織の顧客を装っていたが、実は組織の情報資産を狙う攻撃者であり、攻撃者が送信した添付ファイル付きのメールは、組織内のネットワークに侵入するための起点となるメールであった。やり取りを通じて攻撃者を顧客と信じていた担当者は、添付ファイルをクリックしたことで端末がマルウェアに感染してしまった。

 この組織では、利用端末の管理が徹底されず、脆弱なソフトウェアが存在していたとしても、適切な対応が講じられていなかったのだ。その結果、攻撃者はその脆弱性を悪用し、担当者の端末をマルウェアに感染させて攻撃者が用意したC2Cに接続できるバックドアを確保し、それを通してネットワークへの攻撃者の長期に渡る侵入を許すことになった。

 それでは、この例ではどこにリスクが存在していたのだろうか。

  1. これらの端末で使用されているソフトウェアなどの構成情報の管理が徹底されておらず、脆弱性が存在していたが問題の認識ができていなかった
  2. 脆弱性が判明したにも関わらず、それらを利用したサイバー攻撃を認識できず、迅速に適切な措置が取られなかった

 最新の脆弱性を把握し適宜対処していれば、早期に感染していることが判明し駆除が行われ、長期に渡る潜伏や情報窃取を許すこともなかったかもしれない。あるいは、他組織が遭遇しているサイバー攻撃を事前に把握しておけば、あらかじめ自組織の対策にも適切に反映し、未然に防ぐことができたかもしれない。

 自組織のインフラのなかでもエンドポイントやサーバといった機器にはビジネスを継続する上で重要な情報資産が保持されている。多くの組織では、守るべき情報資産を明確化し、機密性・完全性・可用性に対する脅威から適切に保護するため、すでにさまざまな対策を構築している。

 しかし、それでもサイバー攻撃によるインシデントが減らないのが現状である。第1回目でも述べているが、対策が破られることを前提とした考えが必要となり、それにはサイバー攻撃を受けた場合のリスクを把握し理解することが重要となる。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]